挑発スタア 公演情報 挑発スタア」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 満足度★★★

    所々に惹き込まれる箇所はありました
    舞台中央に大きなテーブルを置いたため、ダンサーが自由に動けるスペースが狭くなり、窮屈そうにダンサーが踊っていたのが残念だった。

  • 満足度★★★★

    家族の肖像
    初日に見る。期待通りというか、期待以上に面白かった。
    かつては学校の体育館だった会場。バスケのゴールが一つ残っているのがご愛嬌。誰かが途中でシュートを打つかと思ったが、それは考えすぎだった。
    演劇の場合は、客席を二手に分け、その間のスペースで演技を行うというのはときどき見るが、ダンス公演でそういう形のものを見たのはたぶんこれが初めてだ。そしてそれが非常に面白い効果をあげていた。舞台中央には長方形の大きなテーブル。出演者14人が並んですわっても充分な余裕がある。このテーブルを中心にダンサーたちが回りながら移動すると、ちょうどスタジアムのフェンス際の席にいて、スポーツ選手が間近に来たときのような臨場感、ワクワク感が味わえる。その意味では今回特に、最前列の席がおすすめ。

    またカンパニーのツートップといっていいかもしれない井手茂太と斉藤美音子のパ・ド・ドゥも見もの。いままで意外とあるようでなかった気がする。

    ネタバレBOX

    このカンパニーのダンス作品は、人物や場所の設定がけっこうはっきりしていて、コンテンポラリーダンスの中では親しみやすい雰囲気を持っている。以前、「排気口」という日本旅館が舞台のダンス作品をやったときには、登場人物たちの相関図をパンフに載せていたくらい。
    今回もそういうドラマ的な要素が強く感じられるので、ダンサーの衣裳や振る舞いから受ける印象にもとづいて、状況設定を自分なりに想定してみた。
    登場人物にいちいち名前を考えるのは面倒なので、ダンサーの名前をそのまま使わせてもらう。

    時代は日本の戦前。根拠は舞台の端の2箇所に立っている古めかしい街灯。場所は富豪の邸宅の食堂。大きな食卓が鎮座している。
    屋敷の当主は小山達也。裸一貫から出発して一代で現在の富を築いた。近頃はいくぶんボケも見られるがまだまだ見くびったものではない。彼には病没した前妻との間に3人の娘がいる。上から、美音子、朋子、なぎさ。次女の朋子は新婚で、夫は松之木。また後妻である今日子との間にも幼い2児がある。名前は亮介と奈実。そしてもう一人、達也が妾との間に設けた子供で、現在は成人して軍人になっている達哉。
    そのほか、小山家に出入りする人物としては、達也の妹で出もどりの留美子、書生の原田、達也の秘書の金子、メイドの東、執事の井手がいる。

    事件というほどのものは何も起こらないのだが、3組の恋愛模様がダンスに花を添えている。一つは新婚の朋子と松之木で、そのラブラブさ加減は周りの者にとっていささか暑苦しいほど。あとの二つには執事の井手が絡んでいる。この男がなかなかの女たらしで、結婚を餌にメイドの東をたぶらかす。傷心の彼女の前に現われるのが軍服姿もりりしい達哉。二つめはこの二人の純愛。そして三つめは、長女でオールドミスの美音子と執事井手との背徳感あふれる関係。良家の令嬢と使用人の色模様とくれば、先日見たばかりのバレエ作品「令嬢ジュリー」がいやでも浮かんでくる。

    わが世の春とばかりに、食堂の端に設けられた舞台で当家の主が踊り、丸山圭子の「どうぞこのまま」に乗って、全員が食卓で踊るラスト。だが彼らのそんな希望をあざ笑うように、軍国主義の流れが小山家全体を飲み込んでいくのだった。

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