長くて短い秘密の話 公演情報 長くて短い秘密の話」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★★

    とてつもなく素晴らしく、そして深い演劇でした
    いあいあ、完璧ですね。まず、役者から吐き出されるセリフのセンスがいい。日本的ではない欧米の独特のジョークやテンポのいい絡み。そして仰け反るほど素晴らしかったのは、キャストの逸脱した演技力にあります。
    初見の劇団だったけれど、まだまだ発掘するとあるんですね~、こういう劇団が!
    すんごく大満足!ひっさしぶりに内容の濃い見事な演技に全員を抱きしめたかったほど!(^0^)

    4篇のオムニバス。舞台セットもいい。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    『ともだちのち』
    15年前の作品の再演との事。バスの待合ベンチでの会話劇。一見、友達のような3人だが、不良の安部が真面目そうな鈴木のわき腹をナイフで刺した。そんなことになったのは、安部がナイフを出して見ていたら、安部の子分のような伊達が鈴木にぶつかって反射的にナイフが鈴木に刺さってしまった。という言い訳をする。苦しんでいる鈴木に「鈴木君、やヴぁいよー、バンソウコ、貼っておいたほうがいいんじゃないのー。」なんて、阿部は能天気に苛め抜く。苛めながら、自分達は友達なんだから・・。と講釈して巧みに責任回避する。不良二人が発する言葉のバカさ加減が面白い。安部の卑怯さ、伊達のズルさ、鈴木の弱さを表現し、いじめを題材にした不条理劇。

    『アリサよりよろしく』
    テネシー・ウイリアムズ作「Hello from Bertha」の80年前のアメリカを現代の日本の新宿歌舞伎町に置き換えた物語。
    一軒の風俗店で働いていた風俗嬢のアリサは病気の為、ベッドに居た。その情景は精神的な病らしい。一文ナシのアリサの今後に困った店主は昔の馴染み客の安岡譲二に助けを求めるようにアリサに進言するも、アリサはそれを拒否する。今でも安岡の事が好きなアリサは「アリサから譲二へ。よろしく。」とだけ伝えて、と手紙を書いてくれるように頼む。考え悩んだ挙句、大好きな安岡には迷惑をかけられないと一途に想いを寄せるアリサの純情を描いた作品。大塚悦子の迫真の演技は見もの!

    ・・・・・・お客さんと一緒に遊ぼうコーナー・・・・
    ここでイメージで遊ぼうコーナーが設けられ主宰が司会をしてカラーマスター遊びをする。劇の合間にこうやって観客と一緒に遊ぶという劇団は初めてでした。観客によっては「うざいなぁ。」と感じるかもしれない。それは観客と舞台の境界を取り払うかのような感覚で、ズンズンと観客の懐まで入ってくるんだよね。少しでもエンゲキというものに対して観客に理解して貰いたい!みたいな気負いが感じられて、その気迫にヤラレル!(苦笑!)

    『アクロス・ザ・ユニバース』
    再演。盲目のふりをしたシンガーが他人を騙しながら小銭を稼ぎなんとか生活していたが、ある日精神病院を 追い出された女に出会う。女は桃源郷を夢見て「生まれた街に帰りたい」と話す。シンガーは「この街の奴らはみんな、イカレテル。仕事以外は何にもねえ。」と、吐き捨て自分の置かれている現状を嘆く。自由を渇望する男と女の二人芝居。

    『個人面談』
    面接官「本当に生きたいですか?」
    審査にかけられてる男はこの質問に対して「はい。生きたいです。っつーか、すごく生きたいです。」
    面接官「どうして生きたいのですか?」
    「なんつーか、どうしても生きなきゃいけない!みたいな?っつーか、生きてみたいんです。」男は曖昧なぼんやりとした主張しかできない。
    面接官「貴方は前回、出かけられる前にも同じ事を言い残したのですよ。そうしてその前と同じように自殺してここに来たのです。」
    「今度はちゃんと真面目にやるから・・・、出世とかお金とか名誉とか、多くは望まないから・・、ちょっと空をみたり、花をみたり、人と話して、少し笑えたら、それでいいんです。」
    面接官「解りました。それでは、良い旅を。」

    死んでる男が下界に戻るにあたっての個人面談!


    4篇、どれも内容の濃いひじょうに素晴らしい舞台でした。そこに息づく現実と不条理を織り交ぜながら、人間の悲しさ、哀れさ、切なさを訴え、そうして最後は多くを望まない事が幸せに近づく一歩だということをさりげなく響かせるのです。時には重厚に時には軽口で。素敵な舞台を観ました。

このページのQRコードです。

拡大