満足度★★★★★
ずいぶん前になってしまいましたが…
拝見させていただきました!
舞台の使い方が巧妙で、引き込まれました。
しかも出だしがパチンコ屋!そんなのアリですか!と。
ど頭から興奮したのですが、
ありえない展開をありえる話にする演出の力量には感動しました。
ありえない展開の中でのフィギアも素敵でした。
満足度★★★★
寿司喰いに行ったら美味しいケーキが出てきて吃驚
近年観た赤堀雅秋氏の脚本・演出作品
『 その夜の侍 』 ・ 『 東京 』 ・ 『 葡萄 』 が3つともよかったので
わくわくしながら観に行く。
結果、完全に予想を外れた展開におおいに驚く。
これまで観てきたシャンプーハットの作品と
味わいの異なる世界があった。
いつものお家芸である(と俺が思い込んでいた)
「静けさ」・「重さ」・「現実感」がほとんどない代わりに、
「怒号」・「スピード」・「仮想現実感」を前面に出した新演出。
まるでSABUやタランティーノの映画でも観ているかのような
爽やかな弾けっぷりだった。
旗揚げメンバー全員がショーレストランを拠点とした
パフォーマンス劇団の出身で、
「喜劇的であり続ける」のが身上というシャンプーハット。
旗揚げから10年以上もの長い歴史を考えれば、
今回はむしろ新展開ではなく原点回帰なのかもしれない。
魔夏の白昼夢を何故か10月末の秋深まる肌寒さの中で観る
という珍妙な逸品。
もちろん珍妙であることを狙っており、不自然でおかしなシーンが
次から次へとやってくる。
105分の上演時間の間、客席では随所に笑いが起こった。
物語の表面上は、いつものように「生活の苦味」や「犯罪」が
並べられるのだが、何故かとびきりファンキーに描かれている。
寒冷地のやってらんねー暮らしをウォッカでブッ飛ばすような、
主婦の覚醒剤や高齢者の万引きのような鬱屈した冒険を
インディージョーンズの冒険に強引に変換しちゃうような、
やけっぱちみたいな試み。(を意図的にやっていた)
そして、これまた珍妙なことに全体を通して観ると
大変ハートフルな作品だった。(これも意図的)
登板した役者は7名。
主将の野中隆光・中盤の要 黒田大輔を欠き、
客演も一切迎えなかった今回の布陣。
意外にも、近年で最も華やかな快作(怪作?)に仕上がった。
サッカーに喩えれば、赤堀雅秋をドンとセンターに置き
全てのボールを集めるという単純でダイナミックな戦術。
とても観やすく、安心感があった。
舞台上には安心感があるのに、物語や演出は今までにない
トリッキーな試みが多く、着地点が読めない。
そのバランスが絶妙だった。(もちろん意図的だろう)
赤堀氏を取り囲む劇団員一同、全くキャスティングに無駄がなく
その辺りもクールだ。
例えば、梨木智香は下着を見せるだけで十分ポジションを果たしていた。
いつも思うのだが、「完全に客観的に自分達のクルーを見つめる目線」
がなければ、創作ってあそこまでカチッと狙い通りにいかない。
狙いを外さないところに畏敬の念を抱く。
また、見終わってしばらくして、
「いや、そんなに明るい話じゃねえぞ…」
ってなるのも凄いところだ。
評価の☆を5つではなく4つにした理由は、
愉しみ方を理解するまでにしばらく時間を要したことと、
辻褄やリアリティーを削ぐと、いくら面白くても
心の底から揺さぶられるような感動はやって来にくいことから。
作品よりシャンプーハットそのものの魅力が勝った新演出だった。
目当てで観に行った先輩の吉牟田眞奈さんは、
顔芸・関西弁など持ち味を使い切ったスキルフル過ぎる好演。
ただでさえ忙しなくカラフルな展開に、さらに華を添えていた。
眞奈さん、お疲れ様でした☆