演劇

師走公演

はらから

創像工房 in front of.

慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館(神奈川県)

2008/12/19 (金) ~ 2008/12/23 (火) 公演終了

上演時間:

9年前、父の土地が取り上げられた。その日の様子を僕はよく覚えている。
父は、いつも座っていた少し汚れた緑色のイスにふかく腰掛け、開けずにしまっていたウィスキーをあおり、誰に向かって話しかけるわけでもなく、俺の土地はながい時間をかけて先祖だいだい買い集めたものだとか、それがどうして取り上げられ...

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公演詳細

期間 2008/12/19 (金) ~ 2008/12/23 (火)
劇場 慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館
出演 村上純也、青木直也、大山修一郎、佐藤可奈子、安積友恵
脚本 青木直也
演出 青木直也
料金(1枚あたり) 800円 ~ 1,200円
【発売日】
ご予約1000円
当日1200円
はらから割引800円(ご兄弟でご予約の場合)

会場:慶応大学日吉キャンパス塾生会館合同C
サイト

http://www.sozokobo.com/~harakara/

※正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。
タイムテーブル
説明 9年前、父の土地が取り上げられた。その日の様子を僕はよく覚えている。
父は、いつも座っていた少し汚れた緑色のイスにふかく腰掛け、開けずにしまっていたウィスキーをあおり、誰に向かって話しかけるわけでもなく、俺の土地はながい時間をかけて先祖だいだい買い集めたものだとか、それがどうして取り上げられるのだとか、いつまでも同じ話を繰り返していた。顔は橙色のランプに照らされ、目尻や口元の皺が濃い影をつくり、父の表情をよくわからないものにしていた。14の僕はその父をながめ、あぁこの人もこんなに歳を取っていたのだと、今更ながらに気付いたりしていたのだ。
普段の父は、ひどく傲慢な人だった。母と僕と妹のいっさいの自由を許さなかった。食卓では父が話し始めるまで、誰も話すことは出来なかった。僕と妹が買ったものはすべて父に見せることが義務付けられていた。
ある日、母が内緒で2人にドロップを買ってくれた。父はそういう類のものを嫌っていて自分達では買えなかったから、僕らは毎日1個ずつ大切に舐めていた。イチゴ・メロン・パイナップル。たくさんの味があった。だけど、すべて味わうことは出来なかった。父はそれを僕らの部屋で見つけ、取り上げてしまった。僕らよりも買い与えた母のほうに父は怒った。頬の皮が裂けるほど母は叩かれていた。
母に、なぜ父と一緒になったのか聞いたことがある。たしか17のときだった。それまで僕は、母が幸せそうな顔をしているのを見たことなどなかった。いつだって化粧気のない、土くれのような、疲れきった顔をしていた。母は一言「かわいそうな人なんだよ。わたしも。父さんも。」と答えたきり、あとは何も言ってはくれなかった。母は妹が生まれる前から、少しだけ精神を病んでいたようだ。妹はすべて父のせいだと思っていたが、それだけじゃないのを僕は知っていた。

3ヶ月前。そんな父と母が死んだ。村の集会所で崖崩れに巻き込まれ、死体を見つけ出すことも出来なかった。2人にふさわしい最期だと何となく思った。空は灰色だ。もうすぐ雪が降る季節が来る。
その他注意事項
スタッフ

[情報提供] 2008/12/17 10:01 by 上野小夜

[最終更新] 2008/12/17 10:16 by こりっち管理人

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