土のバッキャロー!! 公演情報 土のバッキャロー!!」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    面白い。開幕するや山形のぶどう園の幼馴染の青年二人の会話からスタート。これが説明口調の台詞の羅列、如何にもな大仰なリアクションの遣り取りが続き、わざとらしい空気感の醸成にげんなり。TVドラマ調の説明演技ばかりでリアリティーが感じられずこれは···、と思っていたのだがそれは杞憂ですぐに引っ繰り返る。
    オガタワイナリーの社長である斉藤レイさんの登場だ。その地での日々の暮らしを纏った訛り、汚れたスニーカー、ずっと舞台を動き回り視線で空間を広げ会話の一つ一つに観客が気になるようなボールを投げ入れる高度なテクニック。一気にこの世界に引き込まれた。何かしら観客に感情移入させる取っ掛かりがあれば、話に入っていけるもの。
    コメディ・リリーフの大林素子さんも大活躍。ちょっと痩せ過ぎなのが心配だが、彼女の登場で舞台がパッと明るくなる。國島直希氏演ずる狂気のシスコン男も観客を沸かせた。涎をダラダラ垂れ流ししつこく繰り返すボディタッチ、計算尽くなら天才的。妹役森崎りなさんは指原莉乃似で可愛かった。

    山形県のワイナリーが舞台。次期後継者の娘(中右遥日〈なかうはるか〉さん)が四年間のワイン造りの研鑽の旅を終えて帰郷。その彼氏(杉江優篤〈まさひろ〉氏)は近くの果樹園を継いでいたが、退屈な日常からの脱出を思い描いている。そこに東京から見学に訪れる甲斐千尋さん。“ワイン馬鹿”の女達と”どうにか自分を変えたい“と願う人達のささやかな巡り合い。

    兎に角観ているだけでワインについてかなり詳しくなった気が。異常なワイン人気の理由もどこかしら腑に落ちた。葡萄とワインの事だけで一年中頭がぐるぐる廻っている斉藤レイさんと中右遥日さん親子が羨ましくも思える。ずっとワインのつんと鼻を突く芳醇な香りと、舌の奥をもわっと刺激する濃厚な酸味が甘く漂っているような空間だ。品のある上質な会話劇。

    ネタバレBOX

    甲斐千尋さんを山谷(やまや)勝巳氏が旅館に送っていく件があった筈だが、何時の間にか國島森崎兄妹と迎車に同乗することに。自分の見落としか?

    台詞と演出の乖離が甚だしく感じた。会社の面接のような理路整然とした台詞の遣り取りが情感を損ねている。そこまでハッキリ説明しなくてもいいシーンが沢山あった。台詞ではなく演出で表現すべき勿体無いシーンも。小説だと秀逸な描写でも、舞台となると手触りが違ってくる。

    この話をどう終わらせるのか?と気になっていたが、國島氏の提案する「芋煮会」の開催で皆が盛り上がる。「成程、これは上手い」と感服したところに、中右遥日さん運転の車とトラックが正面衝突したとの知らせが入る。衝撃のラスト。「ここで終わりかよ?」と呆然。後から今作は前後編の二部作だと知った。
    山梨県を舞台にした『丘のバッキャロー!!』前編(2020年10月公演済み)、山形県を舞台にした『土のバッキャロー!!』前編(今作)、来年春に合同の後編が上演されるとのこと。気になる。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ほっこりした人情喜劇で癒された。役者さんの熱演がビンビン伝わってくるいいお芝居でした。
    ワイン好きの人にはたまらなくいい、と思う。
    ワインにさほど興味がない私も興味をそそられた。
    次回はどんなバッキャローがあるのか、楽しみです。

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