痴人の愛 ~IDIOTS~ 公演情報 「痴人の愛 ~IDIOTS~」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 3.8
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★

    鑑賞日2020/10/26 (月) 13:00

    延々と痴話げんかを見せられてもなあ。というのが感想。場面毎に過去に遡っていく展開は、確かにラストのシーンに、おそらくは現在の譲二の追慕として結実し美しい。だけれども、だからといって第一場の譲二とナオミの諍いは、何かに昇華するということでもあるまい。15歳の娘を引き取って、自分好みの女性に仕立て上げるという、現在では実現不可能な夢も、戦前ならありうるなという納得だけで、ことの結末は男女の心の行き違いで別れが訪れたということと何が違うのだろうか。

    もっとだらしなく、みじめたらしく、不道徳に描けなかったものだろうか。第三場目ナオミが自我の目覚めをとうとうと主張するくだりでは、ついおまえはノラか?!と突っ込みたくなった。もっと自我とは違う何かが主張したいのではないか?なぜなら、君はすでに自由なのだから。

    月船さららのお嬢は好演。これくらいは当然か。何となく抒情的にまとめられてしまった「痴人の愛」

     人形による進行説明は、ちょっと反則、芝居の矮小化を招かないか。

    ネタバレBOX

    サヘルのナレーションを期待していったのに、最後の紹介でサヘルの名前が出るまで、100分に渡りうっかり忘れていた。これは私のせいか、それとも、、、、
  • 満足度★★★★

    黒テントファンとしては片岡哲也氏の回を選んで悔いは無いが、この様式では若松力氏の風情が見やすかったかも知れない、とは思いつつ、時間遡及のプロットで書かれた作劇を興味深く鑑賞した。
    (片岡氏はリアルをベースに軽妙誇張のニュアンスを表現できる役者で、安定感があるが形を決める月船との微妙な質の違いが出たように思う。若松氏はリアルを削いでもニュアンスに統一性を持たせるので(前回の「少女仮面」での噛みのように)崩れると弱いが貫徹すれば相性は良さそうだ。)
    同演目はmetroで10年前大物俳優と上演済みで、今回と演出は違うのかは不明。が、恐らく原作からの翻案は同じだろうと思う(この原作は様々に解釈したくなる古典と異なり上演の動機は自身のこだわりの読み込みがあると想像される)。原作は高校時代に読んだ記憶しかないが、男が如何に女性に弱いか、特に老いに片足突っ込んだ男が若い女性に対し宿命的に隷属する「定型」を叩きこまれた。男の本質の中に、奴隷にされてもその女性に繋がりたいという願望がある、という・・。これを年端も行かぬ青年が読んでしまって良かったのか?一抹の疑問があるが、ともかくそれはそれは付くも地獄離れるも地獄のマゾヒスティックな生の、これ以上ないサンプルであった。が、今回の舞台では冒頭その様相が描かれるものの、男の精神の荒廃を表す床に散らばった衣裳が少しずつ片付くにつれ過去の場面に遡る。その時々の関係性が、特に説明の無いのに会話や風情で示されるのが趣深く、「幸せだった過去」を眺めるように(バイアスのかかった?)二人の風景が再現されていくが、芝居が幕を閉じるのは過去の場面で、つまり「より苦しくない時期」で、である。現在の地獄は相対化され、「あるいは二人は・・」と、パペットによる老いた二人の寄り添う姿が半ばハッピーエンド風を演出する。ほろ苦さは残っても「甘い」気分で終幕を迎える事になった。
    「過去を見るように現在を見る」という読み方は、鬱屈が常態となった日本では、現在を生き抜く術である事を示唆するものか。

  • 満足度★★★★

    この演目は2度目の観劇。チョイとばかり異様なお話ですが、妙に明るく楽しいステージです。さららさんのコケティッシュで小悪魔的な魅力に参ってしまいます。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2020/10/23 (金) 19:30

     初演も観たが、再演はグレードアップして、見事な舞台だった。
     谷崎潤一郎の小説を舞台化したものだが、原作のテキストを活かしつつ巧妙な劇作である。オープニング、痩せた男(影山翔一)が人形劇の舞台を持って登場し、語り手(サヘル・ローズ)の語りで物語は始まる。譲治(若松力)とナオミ(月船さらら)の物語は、最終盤から始まり、人形劇は時間軸に沿って、現実の演技は時間軸を逆上るように構成されている辺りが巧い。ナオミの立場から見た物語、というのも理解できる。初演ではおっかなびっくりに見える演技をしていた月船が、今回は確信を持って演じているように見えたのだが考えすぎだろうか。

  • 満足度★★★

    鑑賞日2020/10/22 (木)

    価格4,800円

    初日の22日19時半開演回を拝見。
    登場人物を絞った
    ナオミ…月船さららさん
    河合譲治(Wキャスト)…片岡哲也さん
    痩せた男…影山翔一さん
    語り手…サヘル・ローズさん
    の布陣で、紫の上を育て上げる光源氏、とはいかず、自由奔放なナオミに翻弄される中年男の愛の形を描く100分間。

    終演後、コロナ禍で、身近での挨拶が出来ない代わりに、出演者3名、ザ・スズナリ側面のベランダに出て来てのご挨拶。
    それは、勿論、幾多の困難を乗り越えて、無事、初日の舞台を終えたことへの喜びと安堵感の表われなのだろうが、「痴人の愛」というよりも、「マイ・フェア・レディ」の終演後みたいな、晴れやかな雰囲気だった。

    ネタバレBOX

    ナオミは、表層的な見方をすれば「悪女」なんだろうが、今宵の月船「ナオミ」は天真爛漫な永遠少女といった感が強い。
    上記で「マイ・フェア・レディ」に触れたが、実は劇中、私の目には
    ナオミ=自身の欲望に忠実過ぎるきらいはあるも、早くから自我の確立したイライザ
    譲治さん=早々に教え諭す立場から引き摺り降ろされたが、それで却って、素直に本音で接することができたヒギンズ教授
    という感じに映っていた。
    まぁ、他人がどう思おうと、当事者にとっては実は居心地の良い関係だったのかもしれない。
  • 満足度★★★★

    〈片岡版〉
    地獄のような物語。自分を裏切り傷付け苦しめた少女に対し、未だに欲情を覚え渇望し崇拝する年老いた男。
    とても男と女のある愛の一形態なんて優雅な代物じゃあない。地獄の果てしなさのような。ナオミが覚醒剤だとしたら腑に落ちる。
    舞台美術がお見事。オープニングの譲二の登場シーンから最高。
    黒子(?)の影山翔一氏がこなす無造作な舞台転換も痛快。
    『テネット』方式の逆行モノでもある。

    ネタバレBOX

    ラストはスズナリに雨が降る。
    雨の中、ずぶ濡れになって野花を摘み、小さな花束を譲二に手渡すナオミ。
    その抒情性で終わる。

    この原作に何故か乗れない訳は、ナオミに惹かれないことと譲二に感情移入出来ないこと。語られるのは性的なフェティシズムばかり。ナオミは人間ではなく、人を盲目にし狂わせ中毒にさせるものの象徴としよう。するとこれはもう一人の自分自身との取っ組み合いとも解釈できる。自分を崇拝したり蔑んだり愛して憎んでのくんずほぐれつ。黒澤明の『白痴』みたいだ。

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