Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち 公演情報 Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2020/02/28 (金) 14:00

    イプセンの「幽霊」といえば、同タイトルでその作品世界が広く知られている。それを敢えて今回は「亡霊たち」と訳した。確かに「幽霊」というと、日本的な情緒を引き擦るので、「亡霊」の方がピンとする気がする。また英語題名は複数形なので「たち」と付けるのも理解できる。ただ、2つの点が気にかかる、「幽霊」ないし「亡霊」は、死んだアルヴィングだと思っていたのだけれど、なぜ複数?そして原題‘Gengangere‘には「繰り返される」という意味があること。
     これらの点を強調する目的で、翻訳・演出の毛利三彌氏は「Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち」という題名を付けたらしい。
     そうか、これは人間の業の話なのだな。いかに打ち消そうとしても、隠し通そうとしても、けして無くすことのできない血縁による業の話。

     今回の観劇は、イプセン作品ということもあったが、それ以上に登場する俳優陣に興味があった。CAPIの芝居は、2016年に原田大二郎氏をゲストに迎えた「ゴドーを待ちながら」で確認済。久保庭尚子、西山聖了、中山一朗、髙山春夫、藤井由紀という配役に食指が動かぬわけがない。

     しかし当日の舞台は、平日の昼ということもあってか、かなり閑散とした入り。ちょうど、新型コロナウィルスの席巻で、多くのイベントが中止に追い込まれた時でその影響からも致し方なかったのかもしれない。それだからというわけではないが、芸達者な俳優陣の芝居がどうも噛み合わない。俳優陣が舞台の両袖で待機するという舞台構成なので、自ずと演者は役者の視線を意識する。これが閑散とした客席(おそらく、数日前までは観客であふれていたであろう)の視線をも意識させ、長台詞がうまく回らない。あの流麗なセリフ回しの中山一朗氏が、ヘレン夫人との対面で途中から四苦八苦し始めた。髙山春夫氏登場で立て直すが、これはもしや演出の問題もあるのではないかと思う。
     毛利三彌氏は、パンフレット中で、従来の「幽霊」とは異なった、ライトな現代に通ずる解釈をした演劇にしたいと書いていたが、このイプセン戯曲の陰鬱さを取り除こうと、役者間の距離を意識的に離そうとはしなかっただろうか。それが判るのが、ヘレン夫人とマンダース牧師(中山一朗氏)が、孤児院建設の背景から過去の秘密を話し合う長い対話が、妙に抑揚がなく感情の起伏が感じられない点である。この軽さが、これまでの舞台上との違いで役者の重しを外して、混乱を招きはしなかったか。
     
     西山聖了氏のオズワルドは、まさに亡霊がごとく、現在に呼び戻された因果を体現し、その生の儚さと周囲を渦巻く狂気をうまく醸し出していた。 

  • 満足度★★★

    ■約105分■
    ろくでなしのくせして地位とプライドだけは高かった故人の体面を取り繕うため、残された妻と息子が苦労する話。現代日本に通ずる部分がなくもないが、ヨーロッパの地域性、書き手の生きた時代の時代性が強く出すぎていて、作品世界に没入することができなかったのが残念。牧師が重要な役割を果たすような物語は、キリスト教の影が薄い日本に住む者には取っつきにくいし、今よりもずっとずっと体面が大事だった時代の空気は、現代に生きる者には理解しづらい。演出・演技は抜かりなく、上演成果は上々だったと思うけれど、やっぱり劇って、脚本に同調できないと味わいつくせない。

    ネタバレBOX

    息子に扮した西山聖了さんの、徐々に狂気に蝕まれていく演技には鬼気迫るものがありました。
  • 満足度★★★★

    題(「幽霊」)に惹かれて数年前読んだ戯曲だが舞台は未見。あやふやな記憶ナビで楽しく観劇した。古典そのものより俳優陣に惹かれたのが正直な所。
    最近の体調による例の睡魔が(瞬間的にだが数回)襲った間にワードを落したのだろう、作者の意図の取り違えが若干。後で筋を確認して修正した。
    舞台は溌剌と進んで行くが、流麗さより俳優の個性の凸凹が面白い。ただし結句自分の関心は、台詞でのみ登場する幽霊(亡霊)が何を指すものか、戯曲の背景であろう時代の移り行き(近代化)の何処に何をイプセンが見たのかであったが、判りやすい解答はなさそうである。

  • 満足度★★★★★

    イプセンには、ドラマの中に経済的事象を取り入れて啓蒙する意図があったのかなと思います。

    ネタバレBOX

    親の因果が子に報う話。10年前に死んだ父親の酒好き女好き、梅毒に侵されていたことなどを隠そうとして息子を幼少期からパリに留学させていたものの、父親の遺産で建築した孤児院の落成式を前に帰国した息子も同じような性癖かつ梅毒で脳がやられていて発作を起こして死んでしまうという話をメインに、経済社会を生きるための知識や庶民の生き様を描いた話。

    1881年当時に火災保険制度が普通に確立していたことに驚かされました。そして、火災保険に加入することに賛否があったことにも驚きました。

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  1. CAPI「Gengangere〜再び立ち現れるもの〜亡霊たち」マチネ@こまばアゴラ。先週の新国立研修所「社会の柱」に続いてイプセン作品を観劇。久保庭尚子さんらベテラン陣の演技がとりわけ良くて見応えあり。久保庭さんと中山一朗さんによ… https://t.co/FRF5JLqgKk

    約4年前

  2. イプセン『再び立ち現れるもの/亡霊たちGengangere』(翻訳・演出:毛利三彌)https://t.co/Mlioohhr7K

    約4年前

  3. 今日は、私の大先輩達が出演する舞台『亡霊たち』を観劇してきました。物凄く濃く、考える内容で、面白かったです。先輩方の重厚さと円熟した演技に圧倒されました。ぜひ、機会と興味があればご観劇ください。 公演案内|こまばアゴラ劇場 https://t.co/Ii4owfoGIX

    約4年前

  4. こまばアゴラ劇場にて『Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち』の観劇に。 高山春夫先生の応援( ・`д・´)!! 高山先生の舞台、いつもすごいのよなぁ…!! 査定へのパワーをもらう…ッ!! https://t.co/NBZepIkkaS #亡霊たち #観劇

    約4年前

  5. こまばアゴラ劇場で、CAPI「Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち」。イプセンが嫌いなわけではない、というか今回だって、別に戯曲が面白くないとは捉えていない、が、残念ながら上演に乗れない、みたいな、複雑な気持ちで観て… https://t.co/ygZLLC1OnP

    約4年前

  6. いきたい→CAPI Gengangere 再び立ち現れるもの 亡霊たち 作:イプセン 翻訳・演出:毛利三彌 企画:髙山春夫/中山一朗/久保庭尚子/藤井由紀 https://t.co/S5VMzoNfgD

    約4年前

  7. 【好評につき追加あり!カンフェティだけの特別割引も!】CAPI Gengangere  再び立ち現れるもの 亡霊たち |こまばアゴラ劇場 2020年2月20日 (木) ~ 「ゆうれい」として知られるイプセンの名作を、原題より「亡霊… https://t.co/s57to0zKnG

    約4年前

  8. 【好評につき追加あり!カンフェティだけの特別割引も!】CAPI Gengangere  再び立ち現れるもの 亡霊たち |こまばアゴラ劇場 2020年2月20日 (木) ~ 「ゆうれい」として知られるイプセンの名作を、原題より「亡霊… https://t.co/TJvxeCDhDC

    約4年前

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