KUNIO15「グリークス」 公演情報 「KUNIO15「グリークス」」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.3
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  • 満足度★★★★★

    会場が遠いので、三部作1日通しで観て来ました。
    能舞台を連想させる白っぽい舞台と、奈良の大仏か!と思う神々の顔や、衝撃のアポロンが出て来ますが、コロスがラップだったり、音楽がかっこいい。
    惨劇が繰り返されるけど、笑えるシーンも多くて、長かったけど通しで観てよかった。逆に通しでないと半端に終わった感じがしそうな気も。
    安藤玉恵さんがほんと好き!

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/11/27 (水) 11:30

    座席1階F列2番

    杉原邦生演出となれば、歌舞伎を傾く「木ノ下歌舞伎」的な演出を期待する私。さて、今回もさもありなんや、と思って拝観する。
     「グリークス」の日本公演自体が、まだ3度目ということで、私は作品自体初見。「勧進帳」や「東海道四谷怪談」という歌舞伎演目の定番、あるいはシェークスピアの「マクベス」や「ハムレット」といった代表的な古典作品となれば、ストーリーを知るだけに、どのように傾いたのかは自明なのだが、「グリークス」となると、ちょっと判りづらいなあ。

     冒頭、学ラン生徒の世間話から開演したところで、こうきたか、と得心。その後、コロスによる物語背景の説明があって、アガメムノンのトロイアへの出陣の場面へと移る。舞台背面は松羽目。アガメムノンやメネラオスの衣装は、一見ギリシア風だが、ズボンなどは袴の趣。
    アガメムノンに呼ばれた妻クリュタイムネストラと長女イピゲネイアに至っては、結婚祝いで、頭に伊勢えびを括りつけた、真っ赤な奴衣装。ちょっと周囲から浮いているけれど、驚かされたのは事実だ。

    しかし、こうした杉原邦生演出は、第一部「戦争」を通じて空回りする。というのも、第一部は、トロイア戦争というギリシア悲劇の骨格をなす事変を描いているので、その基調できっちりとギリシア悲劇が演じられているからである。サングラスを着けたヒップホップ調の歌も、着物姿や現代風な装束も、そして砕けた言葉遣いも、雨宮良や小田豊、外山誠二を中心とした古典芝居と、コロスの移ろい様から浮いてしまう。一方で、彼らの演技に対して、力量が離れた演者がいたのも事実で、ギャップで見せようにも、ただグダグダしてしまっている。
     第二部「殺人」に至っては、その凄惨な内容が全編を通じているため、なかなか傾ききれない。言い換えれば、第一部、二部では、それだけ堅実で上質な芝居がなされているということでもあるのだけれど。(傾ききれないほどに、魅せているということ)

     それが、第三部「神々」となると、かなり杉原邦生演出がこなれてくる。贖罪、悔恨、救済、そして神々との交感という感性のベースが強くなると、舞台全体が調和を保つようになり、ラップも革ジャンも、白衣に緋袴も紙重も違和感なく受け容れられるようになる。

     安藤玉恵のぶっちゃけ感と、松永玲子の力強さと脱力感、そして石村みかの情念としたたかさ、このあたりの女優陣が、コロスとしても脇としても中心としても、とてもよく芝居を締めていたと思う。(まあ、力量だね)

     でも、アガメムノン~オレステイア、トロイア戦争の話は好きだな。歴史的には遥かに敵わないけれど、歌舞伎を観るような心地よい不条理感がある。

  • 満足度★★★★

    一日中芝居を見ていれば、どこかで躓くものだが、さらさらと見られる。場面場面がいろいろ趣向を凝らして面白くできていて楽しめるのだ。若く、馬力のある杉原邦生の「グリークス」である。
    昔、コクーンで蜷川演出を一日かけてみた記憶があるが、それに比べるとずいぶん砕けた印象である。あれは90年、もう三十年も前のことだから、記憶も薄れている。ギリシャ悲劇の超人型造形が強い舞台で配役もまた、それに倣っていた。今回は翻訳も小沢英実による新訳でずいぶん下世話になった。テキスト論は本一冊やっても尽きないであろうから、とっつきやすいギリシャ劇だったというのにとどめて、観客の感想を。
    まず、百五十の観客席なのに、大劇場の空気があり、しかもやたらに細かい。ここが世界古典のギリシャ劇にふさわしい。どこを見ていても楽しめる。どうしてもやってみたかったという演出家・杉原邦生の気迫が空転していない。幕開きから、林檎におさまるまで、一気呵成の出来である。今まで、音楽やダンスの挟み方で、疑問があるところがあったが、今回はうまくおさまっている。たとえば、トロイ戦争の始末を一曲にしてしまったあたり見事である。
    主要な俳優たちが大健闘である。アガムメノンの天宮良、クリュタイムネストラの安藤玉惠、へカベの松永玲子、アンドロマケの石村みか、脇になるが、武田暁、小田豊、森田真和、普段もさまざまな劇場で舞台をしっかり固める俳優たちが実力を発揮している。気持ちがいい。松永玲子はやりすぎかとも思うが、ちゃんと舞台を締めていて、観客は大いに楽しめるのだ。その点、コロスの若い俳優との落差も目立った。若い俳優にとっても生涯一度の経験であろうが、まずは、セリフを割れないように言う、ということを訓練してほしい。それほど大きくない劇場なのだから、ここで声が割れるようでは、実は俳優として通用していないのである。
    美術と衣装がいい。幕開き、松羽目が舞台いっぱいに立ち上がってくるだけで、芝居好きは捕まってしまう。あまりうまく使っているとも言えないが能舞台の躙り口など、小憎い。そこに国籍不明の衣装がまたよく合うのである。西洋甲冑から日本の神社の巫女まで、多彩な色とファッションで舞台を彩っている。
    異論を言えば、第一部はトロイ戦争、と第二部は肉親間の殺人と、中心のテーマがはっきりしているのに比べて、第三部のエジプトの親子再会は、演出の調子も変わり絞りが甘かったように感じた。
    しかし、これは、やはり今年、屈指の舞台といっていいだろう、。朝の11時半から夜の9時半まで、飽きずに楽しんだのだから。

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