【はじめに】
キャンディプロジェクトでは「演出家と役者は対等である」という信念に基づいて、演出家の指示を役者がそのまま体現することに価値を見出していません。
台本を解釈し、演技プランを練り、舞台の上に人間を立ち上がらせるのは役者の仕事だと考えています。
演出家の指定した演技プランをなぞるだけの作業に、クリエイティビティはあるのでしょうか?
多くの表現者の創造力が集ってこそ、チームプレーの産物として良い作品が完成すると思っています。
さて、多くの役者さんは、台本をよく読み、色々なことを考え、稽古に臨んでおられます。
しかし、考えてきたこと・やりたいこと(表現プラン)を、稽古場でうまく言語化できる方は意外に多くありません。
「言語化するのは苦手だから、私は演技でそれを表現します!」と意気込んでも、「やりたいことを上手く演技に昇華しきれず、それが演出家や共演者に伝わらず、結局ぜんぜん違う演技プランを付けられる」という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、台本を使ってのワークを通し、ディスカッションを重ねながら「自分のしようとしていること・やりたいことを言語化するトレーニング」を行いたいと思います。
【日時】
①11/3(水祝) 13:00~18:00
②11/11(木) 18:00~21:00
③11/18(木) 18:00~21:00
④11/23(火祝) 17:00~21:00
※全四回。連続したワークですが、都合のあう回のみの参加で構いません。
【場所】
東京都北区文化芸術活動拠点ココキタ
http://kitabunka.or.jp/cocokita/
【参加費】
1回:1,000円
※参加した回数のみ。
【主催】
キャンディプロジェクト
http://candyproject.sakura.ne.jp/
【参加演出家】
キャンディ江口:キャンディプロジェクト主宰
大田雄史:芝熊(shiba-kuma)主宰、第23回日本劇作家協会新人賞受賞
【参加申し込み】
下記アドレスにメールをお送りください。
hoi.candyproject@gmail.com
(以下のひな形をお使いください)
件名:ワークショップ参加希望
本文:
お名前(芸名でも構いません)
参加予定日(全四回の内、いずれに参加予定か)
備考(ご質問などありましたらお書き添えください)
【プログラム】
●STEP1 解釈
台本を解釈し、シーンを解釈し、人物を解釈し、台詞を解釈しなければ、表現することはできません。
解釈には様々なメソッドが存在しますが、今回のワークショップでは解釈の方法に拘らず、ひとまず台本を読んで考えてきたことをもとに実演していただきます。
やり方がよく分からない場合は「私はこう思って、こう演じてみました」というくらいの認識で大丈夫ですので、まずはシーンについて考えてみてください。
●STEP2 言語化・ギャップの発見
実演を経て、「この部分はどういう解釈で演じたのか」などといったディスカッションをします。
ディスカッションによって、「自分のやろうと思っていたこと」は、「観劇者に伝わっている部分と伝わっていない部分」があると見えてくるはずです。
自らを客観視することは難しいため、俳優部・演出部のコミュニケーションによってギャップを焙り出し、解消していくことが現場では求められます。
このギャップの発見こそが、言語化が必要な最大の理由です。
俳優「(演出家のオーダーを)やっているつもりなのですが」演出家「つもりじゃダメだ」、なんていう会話を多くの現場で見てきました。
これは、俳優の怠惰が原因ではなく、演出家と俳優の間でコミュニケーションがうまくとれていないというケースがほとんだと思います。
コミュニケーションを円滑に取るためには、俳優部・演出部が各々の考えを適切に言語化する必要があります。
自分にしか分からない言葉でのみ語る者同士が集まると、意思疎通に莫大な時間がかかってしまい、多くの現場ではそれを埋めるだけの時間的余裕がありません。
●STEP3 ギャップの解消・フィードバック
当然、十人いれば十色の解釈が生まれるはずです。
それらは相乗効果を生む一方で、共演者でやりたいことがバッティングしてうまくいかないこともあるでしょう。
自らの言葉を言語化するのと同じくらい、相手の言葉を理解するのは大切なことです。
演出部による交通整理も経ながら、その場にいるメンバーで創り出す最適解を見つけなければなりません。
つまりは、自らのプランを柔軟に変更していくことが必要になります。
共演者や演出部の考えに触れ、その場で柔軟に芝居を変えられる能力を「演技の反射速度」と呼んでいます。
演技の反射速度を上げるために、その前段階として自らの考えを言語化する能力が各々に求められているというわけです。
●まとめ
STEP1で、解釈によって創造的なプランを練り
STEP2で、その言語化によってコミュニケーションをとり
STEP3で、その結果として自らの演技にフィードバックする
というサイクルを体験することを、このワークショップの目標にしています。