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演技が劇的に変わる「脳のリソース理論」とは?プロ演出家が教える演技上達の科学的メソッド

  • 劇団天文座 劇団天文座(0)

    カテゴリ:フリートーク 返信(0) 閲覧(3) 2026/01/28 15:10

「もっと気持ちを込めて」では上達しない。脳科学に基づいた論理的演技指導法で、若手俳優が驚くほど成長する稽古場レポート

なぜ多くの演技指導は曖昧なのか?
「もっと気持ちを込めて」
「そのセリフに魂を入れろ」
演劇や演技の現場で頻繁に使われるこうした言葉。しかし、具体的に何をどうすればいいのか、明確な答えを持っている人は少ないのではないでしょうか。
今回、とある劇団の稽古場を取材する機会を得ました。そこで目撃したのは、精神論を一切排除し、人間の脳の仕組みや身体機能に基づいた、極めて論理的かつ実践的な演技指導法でした。
本記事では、演出家兼俳優として活躍するリーダーが確立した「脳のリソース理論」を中心に、演技が上達するための科学的アプローチを詳しく解説します。演劇人だけでなく、プレゼンテーションやコミュニケーション能力の向上を目指すビジネスパーソンにも役立つ内容です。

1. 革命的アプローチ:「脳のリソース配分論」とは
なぜセリフの語尾が消えるのか?
稽古中、ある若手俳優がセリフを言う際、語尾がシュッと消えてしまい、相手に届いていませんでした。多くの指導者なら「もっと大きな声で」「自信を持って」と言うところです。
しかし、このリーダーは違いました。
「今、君の脳のリソースは『自分』に向いてしまっている」
この一言が、彼の指導法の核心を示していました。
脳のリソース理論:3つのステップ
リーダーが説明する「脳のリソース理論」は、以下のメカニズムで成立しています。
1. 自意識の罠

経験の浅い俳優は、「間違えないか」「どう見られているか」という自分自身への不安に、脳の処理能力の80〜90%を使ってしまう

2. リソース不足

その結果、本来向けるべき「相手役」や「演技」そのものに割けるリソースが枯渇する

3. 現象の発生

相手の表情を見る余裕がなくなり、声を届けるエネルギーも不足し、「語尾が消える」「声が小さくなる」という現象が起きる

この理論の画期的な点は、演技の問題を精神論ではなく、脳の情報処理の問題として捉えている点です。

2. 実践テクニック:「見られる」から「見せる」への転換
意識の向け方を変えるだけで演技が変わる
リーダーが俳優たちに繰り返し伝えていた言葉があります。
「『見られている』と思うな。『見せる』と思え」
これは単なる気持ちの持ちようではありません。脳のリソースの配分を根本的に変える、具体的な技術なのです。
受動的意識と能動的意識の違い
受動的意識(NGパターン):

「観客に見られている」という被害妄想に近い緊張
「失敗したらどうしよう」という防衛的思考
脳のリソースが「自分の不安」に占有される

能動的意識(OKパターン):

「相手役をどう輝かせるか」という主体的思考
「このシーンをどう見せるか」という創造的思考
脳のリソースが「外部」「相手」に解放される

「君が輝くんじゃない。相手役を輝かせるために言葉を投げろ」
このシンプルな意識の転換が、演技を劇的に変えるのです。

3. 技術的要素:「語尾」と「呼吸」のコントロール
語尾に現れる「覚悟」
リーダーが特にこだわっていたのが「語尾」の処理です。
「〜です」「〜ます」と言い切る前に音がシュッと消えてしまうのは、自信のなさが音に出ている状態。言い切るのが怖いから、無意識に逃げているんだ」
語尾が落ちることの弊害:

相手役が「終わった」と判断して食い気味に喋り出す
会話のリズムが崩れる
セリフの意味が観客に届かない
俳優としての責任感の欠如を露呈する

語尾を明確に言い切ることは、自分の言葉に責任を持つことであり、相手にバトンをしっかり渡すという意思表示。それは俳優としての「舞台に立つ覚悟」そのものなのです。
呼吸のコントロールが思考を支配する
緊張で呼吸が浅くなっているメンバーに対し、リーダーは徹底的に呼吸のコントロールを指導していました。
「息を吸っていないし、吐いていない。だから酸欠になって声が出ない」
舞台での呼吸の基本:

セリフの終わりで吸う
次のセリフの頭で吐く
日常なら無意識でやっていることを、舞台では意識的に行う
呼吸が止まると、思考も止まる

リーダーの指導は、俳優たちの生理現象にまで及び、彼らを「表現者」としての身体に作り変えようとしていました。

4. AIと人間:効率化と創造性の境界線
論理的思考家が選ぶアナログな創作
驚くべきことに、このリーダーは日常業務でAIコンサルティングの仕事をしており、AI研修の講師も務めています。論理的思考と効率化のプロフェッショナルです。
しかし、彼は脚本執筆において、AIを一切使いません。
「AI研修の講師をしたり、業務効率化にはAIを使うけれど、脚本だけは絶対にAIには書かせない」
師匠から受け継いだ「手触りのある創作」
彼は演劇集団キャラメルボックスの創設者・演出家を師匠と仰ぎ、その脚本術を学びました。
「脚本を書くときは、師匠の書き方を真似している。プロットの構成からセリフの一文字一文字に至るまで、自身の頭と手を使って紡ぎ出す」
AIと人間の創作の違い:

AI:「それっぽい」ものは作れる
人間:血が通い、役者が口にした瞬間に熱を帯びる「生きたセリフ」を創造できる

「155個のセリフ、4000〜5000字。これをどう構成し、どう響かせるか。キーボードを打つ速度が思考の速度に追いついたとき、物語が生まれる」
効率化のプロが、最も非効率な手作業にこだわる。そこには、AIでは決して生み出せない「計算できない感情の揺らぎ」への信念がありました。

5. 挫折からの再生:リーダーの物語が教えてくれること
エリートの転落:声が出なくなった日
彼の厳しくも愛情深い指導の背景には、深い挫折の経験がありました。
演劇の強豪校で活躍し、芸術大学へ進学。在学中からプロ劇団のオーディションに合格するなど、若くして才能を開花させた「演劇エリート」。しかし22歳のとき、心身のバランスを崩し、ある日突然、声が出なくなり、身体が動かなくなりました。
裏方として得た客観的視点
彼は一度俳優を辞め、音響、照明、舞台監督といった裏方の世界へ。数年間、表舞台には立たず、スタッフとして舞台を支え続けました。
「客席から、袖から、冷静に舞台を見ていた」
この期間に得たもの:

演劇を「客観的」に分析する目
照明がどう当たれば役者が映えるかの知識
音響がどう入れば感情が盛り上がるかの理解
演出家・スタッフとしての多角的な視点

俳優としての主観だけでは決して得られなかった、総合的な演劇理解を手に入れたのです。
カーテンコールの号泣
転機は突然訪れました。トラブルに巻き込まれ精神的に追い詰められていた彼を救ったのは、かつて憧れていた有名なベテラン俳優。その俳優の尽力により、彼は再び舞台に立つチャンスを得ます。
久しぶりの舞台、カーテンコール。彼は舞台上で子供のように号泣したといいます。
「あんなに泣いたことはなかった。止まっていた時計が再び動き出した瞬間だった」
「俺は一度死んだようなものだから」
この言葉は比喩ではなく、役者としての「死」と「再生」を経験した実感そのもの。だからこそ、彼は舞台に立てる喜びを知っており、同時にその怖さも知っています。彼の指導が熱を帯びるのは、若手たちに自分と同じような遠回りをしてほしくないという深い愛情があるからです。

6. 実践者たちの成長:多様なバックグラウンドを持つ若者たち
このリーダーのもとに集まったメンバーたちは、決して器用ではありません。しかし、論理的な指導をスポンジのように吸収し、一歩ずつ確実に成長していく姿がありました。
それぞれの物語を持つメンバーたち
明るいムードメーカー(女性)

セリフ覚えに苦戦しながらも、前向きな姿勢で稽古場を明るくする
「脳みそのシワがツルツルなんじゃないか?」といじられても「すいません!」と元気よく食らいつく
失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢が、周囲に勇気を与えている

貪欲な学習者(男性)

一見クールだが、内には熱いものを秘めている
リーダーの過去話を真剣な眼差しで聞き入り、自分の演技に貪欲に取り入れようとする
「なぜそうするのか」を常に考え、理論を実践に落とし込む力がある

実直な努力家(男性)

語尾が落ちる癖を何度も指摘され、悩みながらも必死に修正しようとする
不器用だからこそ、一つ一つの指導を丁寧に反芻し、自分のものにしていく
真面目な性格ゆえの成長の遅さを、継続する力でカバーしている

彼らに共通するのは、才能や経験の不足を、論理的な理解と地道な努力で補おうとする姿勢です。
「脳のリソース理論」という明確な指針があるからこそ、才能や感性だけに頼らず、誰もが着実に上達できる。それを証明する青春がそこにはありました。

7. ビジネスにも応用できる「脳のリソース理論」
この「脳のリソース理論」は、演劇だけでなく、ビジネスシーンにも応用できます。
プレゼンテーションでの応用
NGパターン:

「うまく話せるだろうか」という不安に脳のリソースを使う
聴衆の反応を見る余裕がない
語尾が弱くなり、説得力が失われる

OKパターン:

「聴衆にどう伝えるか」に脳のリソースを集中
聴衆の表情を見て、理解度を確認できる
語尾まで明確に言い切り、信頼感を与える

コミュニケーション全般への応用
会議やディスカッションで使える技術:

「自分がどう評価されるか」ではなく「相手にどう伝わるか」に集中する
語尾を明確に言い切ることで、発言の責任を明確にする
呼吸をコントロールすることで、緊張をほぐす
相手の表情や反応を観察する余裕を持つ


8. AI時代における「人間性」の価値
稽古の終わり、リーダーはメンバーにこう語りかけました。
「俺たちは、事務作業や運営は徹底的に効率化する。でも、芝居だけは泥臭くやるしかない。最後に人の心を動かすのは、お前らの人間性だ」
AIコンサルティングの仕事を持ち、論理的思考に長けた彼が、最も非効率でアナログな「演劇」にこだわり続ける理由。それは、効率化では決して生み出せない「心の震え」を知っているからです。
効率化できること:

データ処理
定型業務
情報の整理・分析

効率化できないこと:

人間の心を動かす表現
予測不可能な感情の揺らぎ
生身の人間同士の共感

脚本は人間が書く。人間が演じる。人間が観る。
当たり前のことですが、AI全盛の今だからこそ、その価値は以前にも増して輝いて見えます。

まとめ:論理と情熱が融合する場所
この稽古場レポートから学べることは、以下の点に集約されます。

脳のリソース理論:演技の問題を精神論ではなく、脳の情報処理の問題として捉える科学的アプローチ
意識の転換:「見られる」から「見せる」へ、受動的から能動的へ
技術的要素:語尾と呼吸のコントロールが演技の質を決定する
挫折からの学び:裏方経験が多角的視点をもたらし、指導者としての深みを生む
AI時代の人間性:効率化と創造性の境界線を理解し、使い分ける
応用可能性:演劇だけでなく、ビジネスのプレゼンやコミュニケーション全般に活用できる

「まだ死者ではありません!」
稽古の最後に響いたこのセリフは、役の言葉を超えて、彼ら自身の「ここに生きている」という叫びのように聞こえました。
論理的でありながら情熱的。科学的でありながら人間的。効率的でありながら泥臭い。
一見矛盾するこれらの要素が融合したとき、真に人の心を動かす表現が生まれるのです。

あなたも今日から実践できること
この理論を日常に取り入れる3つのステップ:

次のプレゼンやスピーチで、「見られている」ではなく「見せる」意識を持つ
語尾を明確に言い切る練習をする(録音して確認するのが効果的)
緊張する場面で、意識的に呼吸をコントロールする

脳のリソースを「自分への不安」から「相手への伝達」へ転換するだけで、あなたのコミュニケーションは劇的に変わります。

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