■[セミネール]「演劇の新潮流 ゼロ年代からテン年代へ」舞台映像連続上映会(第3回ポツドール・三浦大輔)
主宰・中西理(演劇舞踊評論)
東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品・作家への独断も交えたレクチャー(解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像で演劇とダンスを楽しんでもらおうというセミネール「現代日本演劇・ダンスの系譜」。今回はレクチャーではなく、「ゼロ年代からテン年代へ」と題してセレクションした現代の注目舞台の映像を連続上映することにしました。
これまでセミネール演劇編では青年団の平田オリザ、弘前劇場の長谷川孝治らの現代口語演劇の紹介にはじまり、前田司郎、三浦大輔らその影響を受けたゼロ年代の作家たち。そしてそこから抜け出し独自の演劇を展開したチェルフィッチュの岡田利規らの作品を紹介してきました。今回の連続上演では彼らゼロ年代作家を再び紹介するとともに「わが星」で岸田戯曲賞を受賞し話題の柴幸男をはじめとしてその後登場し、これからの10年間の新しい潮流を作って行きそうな作家たちの舞台を取り上げたいと思います。
第3回舞台映像上映会となる今回取り上げるのはポツドールの三浦大輔です。セミネール第一期でもすでに一度紹介*1しましたが、今回はその時にはほんの一部分しかお見せすることができなかった代表作「顔よ」を紹介したいと思います。
ポツドールは好んで性風俗の世界(AV撮影、ラブホテル、キャバクラ、乱交パーティー)を題材として取り上げたり、その作品に性行為そのものを想起させるような場面や暴力シーンを挿入するなど一緒のスキャンダリズムによりサブカル的な話題を集めてきました。しかし、そのスタイルは平田オリザら前世代の関係性の演劇*1の作家の方法論を基礎にそこにドキュメンタリズム的な手法を導入し、よりハイパーリアルな舞台空間を構築していくというもので、その意味では若い世代の作家のなかではもっとも正統的な平田オリザらによる「関係性の演劇」の継承者ということが言えるかもしれません。
ポツドールの三浦大輔は舞台の登場人物による会話を覗き見させるような形でいまそこにあるそこはかとない雰囲気を追体験されていくような「リアル」志向の舞台を構築していきます。「覗き見させるような」と書きましたが、これは平田が90年代に登場した時によく冠せられていた言葉でもあります。ポツドールの場合はその覗き見する場所を風俗のような悪場所に設定することで一層、「覗き見」の快楽をピュアに追求しようという確固たる意思が感じられます。
【日時】6月22日(第3回 ポツドール・三浦大輔) 7時半~
【演目】 ポツドール「顔よ」@本多劇場(ミニ解説付き) *2
【作・演出】三浦大輔
【場所】〔FINNEGANS WAKE〕1+1 にて 【料金】1500円[1ドリンク付]
※[予約優先] 定員20人ほどのスペースなので、予約をお願い致します。当日は+300円となりますが、満席の場合お断りすることもあります。
【予約・お問い合わせ】 ●メール fw1212+100622@gmail.com あるいは BXL02200@nifty.ne.jp(中西) お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTEL お客様の住所をご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。 06-6251-9988 PM8:00~ 〔FINNEGANS WAKE]1+1 まで。 web:fw1plus1.info Bridge Gallery & Bar 〔FINNEGANS WAKE〕1+1 大阪市中央区東心斎端1-6-31 リードプラザ心斎橋5F (東心斎橋、清水通り。南警察署2軒西へ)
21日の開催が会場の関係で中止になりました。22日は予定通りに開催します。
今後の上映映像ラインナップ(予定)
快快「ジンジャーに乗って」(第1回)「Y時の話」(作者了解済み、日程調整中)
ポツドール「顔よ」(第3回)
渡辺源四郎商店「俺の屍をこえていけ」「河童」(第2回)
デス電所「夕景殺伐メロウ」(作者了解済み、日程調節中)
青年団リンク・ままごと「わが星」(作者了解済み)
チェルフィッチュ「三月の5日間」
ニブロール(矢内原美邦)「五人姉妹」(第1回)
五反田団「ながく吐息」(第1回)
ヨーロッパ企画「Windows5000」
柿喰う客「真説・多い日も安心」(作者了解済み)
悪い芝居「嘘ツキ、号泣」
シベリア少女鉄道(作者了解済み)
サンプル
東京デスロック
劇団野の上「ふすまとぐち」(作者了解済み)
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*1:セミネールWEB講義録・ポツドール http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000501
*2:http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20080406