SHOOTING PAIN 公演情報 コロブチカ「SHOOTING PAIN」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    作・演出が浅い
     精神病院の話である。発狂の背景にあったもの・ことの中に現在の問題を嵌め込み、一応の時代性を確保した。

    ネタバレBOX

     例えば、苛め、大黒柱発狂後、社会保障の限度も切れて借金を背負い未来を喪失し妊娠した若妻に、実生活が破綻した夫が狂気と正気の境界線で向き合う話、実在しない子供を中心に生活する母、一旦、患者とされた者は正気であっても薬漬け、拘禁衣などによって自由を奪われ監禁生活を余儀なくされる話、ちょっと茶化し気味な躁鬱など深刻な問題を扱っているのだが、作・演出に難があるように思う。恐らく、この作・演出家は、深い哲学や精神医療に対する知見を持たないばかりか、役者のキャスティングも間違ってしまった。結果、身体と精神との相関に気付かないような者に、疾患を持つ役を振っている。精神疾患を患う者が、発作を起こす場合などは、心拍数や血圧上昇等々の著しい亢進が見られ、昂った精神と肉体のアンバランスがホルモン分泌などにも影響を与える結果、心は熱しているのに、殆ど無感動としか見えないような醒めた頭脳を持っているような気になっていると同時に、酷い偏頭痛に悩まされるなどということが同時進行したりしているはずである。そう言ったことに想像が及ばないようなキャストならば、少なくとも患者役をやらせるべきではない。豈主役を乎、である。
     薄っぺらな表面しか見ていないから、良い役者がいても活かしきれていないように思う。演出家は、演ずる身体について、この作品では狂気についても、また社会学や哲学についても、もっとしっかり勉強して欲しい。
     役者で良かったのは、真理子役の湯口 光穂、中園役の一色 洋平の身体能力は図抜けている。パプア役の菊沢 将憲も中々であった。小春役のコロは、もう少しいじましさを出しても良かったのではないか。

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    2013/05/05 03:21

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