パークライフ
元東京バンビ
明石スタジオ(東京都)
2009/06/11 (木) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★
パンドラの匣に残っていたものは、希望ではない
希望のない場所で、希望は持ちえるのかを描いた作品。文字通り「公園生活」であり、さまざまな境遇の人物たちが織りなす群像劇。
パンドラの匣を「開けてしまう」存在である女性が無意識的に述べる予言、は果してそこに希望はあるのか。あるいは惰性から脱して「普通に」暮らすことに希望は持ちえるのか。世界を笑えなくなった者は自殺し、実りのない慈海外援助をする者は現実を知らされた管理者に殺されてしまう。多くがホームレス化した未来の社会で、さらにゴミ溜めの様な公園で、人々はやはり希望を持ちえず惰性で暮らす。
テーマとしては現代性を持ちえていて面白いが、焦点が絞り切れていない感もしてしまうのが残念。
熱海殺人事件
一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド
atelier SENTIO(東京都)
2009/06/11 (木) ~ 2009/06/14 (日)公演終了
満足度★★★★
なぜかやたらに美しいラスト
つかこうへいの代名詞である、岸田賞受賞作「熱海殺人事件」を、完全に別なものにしているが、そのエッセンスは確実に感じられる。
おそらくは海のメタファーかつ犯人の記憶の場である、水が流れ込む四角いテーブルがある中央での、
パフォーマンス(あるいはダンス)的要素を取り入れた、テクストの順序を変えた冒頭には、新しい解釈を感じる。
演出の都合上、水がそこかしこに飛び散るために刑事役の俳優は競泳用水着を着用しており、
それによって刑事とは思えない俳優の姿は、もはやギャグとしか言いようがないが
テクストの改編はなされていないため、原作が持つ毒々しさも感じられる。
そして犯人と婦人警官による、ねつ造された記憶の再現シーンと
ラストの部長刑事の長セりフは、それまで見たきたものを一掃するくらいの(不必要なほどの)美しさを持つ。
ドラマのない現代でドラマを捏造することのまがまがしさと美しさ。
それはやはり、なぜかやたらに美しい。
SURROUNDED ALWAYS
年年有魚
新宿眼科画廊(東京都)
2009/05/27 (水) ~ 2009/06/09 (火)公演終了
満足度★★★
多くの要素で紡ぐ、見る/見られるという関係
少人数のスペースだから、どこかの家庭がそのまま再現されているようで、でも壁に展示されている作品によって、それがどこでもない「ここ」になっている。不思議な空間だった。
青年団を思わせる、時間の超越がないリニアなワン・シチュエーションの作品
でかつ、いわゆる「劇的」なセリフがない作品。そのためすっと作品に入っていける。
お互いに理解してもらいたいのだが、その表現が歪な夫婦。つまり相手を見たいし、相手に見てほしい。この相互的な感情を、見る/見られるという直接的もしくは間接的な要素で表現している。