満足度★★★★★
クラシックと演劇の化学反応
11/18日千秋楽。12時、15時公演WキャストA、Bを観劇。
東京イボンヌさんの舞台は去年6月に
スクエア荏原で上演された『俺の兄貴はブラームス』以来。
今回は、シューベルトという事もあり、
昔、音楽の授業で何度か聴いたことのある楽曲も多く楽しみにしていました。
個人的にセレナーデに秘めたシューベルトの思いを表した舞台という内容に惹かれました。詳しくはネタバレBOXにて。
ネタバレBOX
12時回は当日券にも関わらず、運良く
最前列に座る事が出来ました。
個人的に思ったのは急遽追加になった席の様ですがチケットを郵送されて購入されている方もいるので、もし急遽席を増席するならA列チケットから繰り上げればいいのでは?とも思いました。
いい席で観れたのは感謝ですが、既にチケットを購入されていて郵送料もあって当日券のほうが席がいいのはちょっと不満に感じる方もいらっしゃるかと思います。
実際15時の回は最前にも関わらず空席もチラホラ。
悪魔さん同様『ここ勿体ない』と思いました。
セットは古めかしいbarのようなセットの中に一際目立つグランドピアノや譜面台などが置いてあり始まる前から期待感でいっぱいでした。
開演の前にオケの方が前奏でチェロを弾いてくれていてこの流れが世界観に上手く引き込んでいたと思います。
barで酔い潰れて寝ているいしだ壱成さん演じるフランツ(後のシューベルト)
彼を見守るbarのマスターのロドリー、
ウェイトレスのキャサリン、最愛の恋人クラウディア。
売れない作曲家フランツはよくbarにきては落ち込み、愚痴を吐いて酔いつぶれる日々。
そんな毎日が一転フランツの書いた曲が売れ出版社も決まり順風満帆に思えたフランツがついにクラウディアにプロポーズを決心。
が、クラウディアはフランツを愛しているにも関わらず家族を養うためにお金持ちのバロンとの結婚をする選択をする。
フランツは彼女を取り戻すために曲を書き続けるが現実は所詮作曲家。
貴族に成り上がったバロンには力及ばず、、
彼女への愛が曲を書く事でやがて憎しみになり、いい曲を書くために悪魔との交渉をする。
それは1曲につき1ヶ月の寿命を悪魔に
渡すということ。
初めは『1ヶ月だけなら』という軽い気持ちが7年の月日が経ちその間にフランツは31歳という若さで600曲という曲を作り上げた。
気づけば自分の寿命はあと1ヶ月まで迫っていた。
最愛の恋人に自分が悪魔と交渉をして曲を作っていたこと、寿命が1ヶ月しかないことを明かすフランツ。
『悪魔なんていないの。全部自分の中で起こってることなの』
最期最愛の恋人に『愛している』と伝えるフランツ。眠るように息を引き取りフランツが最愛の恋人に贈ったセレナーデが流れる。
二時間があっという間というかとても濃厚な時間に感じました。
生オケの奏でる楽曲、声楽の方の生のオペラ、一度は耳にした事のある
『子守唄』『アヴェ・マリア』『アイーダ』『魔王』『セレナーデ』という名曲の数々。
オケの生演奏に俳優陣の熱演が加わり、見事な化学反応が起きていましたWキャストの舞台を2パターン観たのは初めての経験でしたが
同じ脚本でも演じてが変わるとステージの雰囲気、動き、台詞がガラリと
変わりまるで違う舞台を観た気分で新鮮でした。
個人的にはフランツを演じたいしだ壱成さんの喜怒哀楽の変化、
舞台の空気を一瞬にして変えてしまうオーラ、クライマックスの息を引き取るシーンは引き込まれ観入ってしまいました。
まさにフランツシューベルトそのものでした。
声楽家テノール高田正人さんの『魔王』の独唱は鳥肌もの。
悪魔を演じた植本潤さんのキャラ設定も素晴らしかったです。
クラシックに興味があるけど敷居が高いとかなかなか踏み込めない方には
この劇団の作品はおすすめです。
チケット代も5000円以上の価値のある内容かと思います。
来年7月には大阪でいしだ壱成さん主演で舞台を行うそうです。
楽しみです。
満足度★★★★★
感動のクライマックス!
千秋楽の前日、マチネ、ソワレ鑑賞。
昭和っぽいノスタルジーさ、任侠映画、ミュージカルを観ているようなシーンもあり二時間集中して楽しめました。
ネタバレBOX
ピープルシアターさんの作品は今回2作目ですが毎回メッセージ性が強く、登場人物の描き方がとても繊細。
『聖亭』というカフェ&バーに出入りする人々、そこで繰り広げられる男女の想いの交錯、男たちの決意表明など。
いしだ壱成さんは役によって毎回色んな表情を魅せてくれる。
今回のヒロトという役は普段はあまり自分の事は話さないが胸に秘める気持ちや
猫の空也に向ける眼差しはとても引き込まれた。
クライマックスの聖歌を出演者全員で合唱するシーンは鳥肌が立つくらい素晴らしいシーンでした。
満足度★★★★★
面白かった!
千秋楽の前日、マチネ、ソワレ鑑賞。
昭和っぽいノスタルジーさ、任侠映画、ミュージカルを観ているようなシーンもあり二時間集中して楽しめました。
ネタバレBOX
ピープルシアターさんの作品は今回2作目ですが毎回メッセージ性が強く、登場人物の描き方がとても繊細。
『聖亭』というカフェ&バーに出入りする人々、そこで繰り広げられる男女の想いの交錯、男たちの決意表明など。
いしだ壱成さんは役によって毎回色んな表情を魅せてくれる。
今回のヒロトという役は普段はあまり自分の事は話さないが胸に秘める気持ちや
猫の空也に向ける眼差しはとても引き込まれた。
クライマックスの聖歌を出演者全員で合唱するシーンは鳥肌が立つくらい素晴らしいシーンでした。
満足度★★★★★
世の中にぼくみたいな人間が一人ぐらいいてもいいですよね?
RISU PRODUCE 「ぼくはだれ」vol.18
再演の様ですが私は初見でした。
刑事と被疑者の11日間に及ぶ取調室での攻防。約2時間の公演時間でこんなにも内容が濃く、何よりも役者さんの演技に引き込まれました。役というより一人一人の人間の生きざまを魅せられた様でした。
劇中で『世の中ぼくみたいな人間が一人くらいいてもいいですよね?』という台詞が出てくるのですが、この台詞がとても深いです。
詳しくはネタバレBOXにて。
29日まで下北沢、小劇場B1にて公演中です。是非観て欲しい作品です。
ネタバレBOX
ステージに置かれたのはパイプ椅子2脚と机といったシンプルなセット。
刑事と被疑者のいる取調室で起こるやり取り。緊迫したシーンの中で新人警部補坂中(世良優樹)、高橋巡査(松本勝)さんの先輩と後輩のやりとり、南やすし被疑者(松本匠)のシーンは笑える所もあり、
和みました。
圧巻だったのは亀矢役のいしだ壱成さん。強盗放火殺人の被疑者として任意同行したものの約3週間にも及ぶ拘留…
徐々に追い込まれて行く様、心境が目の動きや手の震えから伝わってきました。
奥田刑事(是近敦之)との緊迫したシーンは本当に身体を張っていて痛々しくも感じました。(手錠の片方を手にかけられた後、もう片方をパイプ椅子に繋がれ奥田が椅子を蹴ったり…)
クライマックスに近づくにつれ、奥田の執拗な取り調べの理由や亀矢の心の奥の思いを知り、最後のシーンの赤いカーネーションに涙するシーンは感動しました。
劇中に出てくる台詞に
「世の中にぼくみたいな人間が一人ぐらいいてもいいですよね?」という台詞が出てくるんですが、その台詞を一人一人の役であてはめて口にする。
言い方やニュアンスがそれぞれ違うけど
その言葉に込められた人間の生きざまを魅せられた様な気がしました。
出演者全員の個性が光っていて、役というより一人の人間がいる。そんな舞台でした。
あっという間の二時間でした。