満足度★★★★★
かもめコンビ再び
☆4.5
手堅くも、やや面白味に欠ける演出。
縄田智子さんの体当たりの演技も見どころの一つでしたが、もっと軽妙で蜜月な雰囲気のシーンが有れば、メリハリが利いてより楽しくなったかも。
満足度★★★★★
前知識無しで観ましたが、
台詞量の多い濃密な脚本にも関わらず、時代背景も物語もとても分かりやすく、終始楽しんで観られました。佐野さんが流石の圧巻、安部公房という私にとっては時代劇の中の人も(昭和って既に時代劇ですよね、)リアルにその場で生きていて。芝居ではなく安部公房その人を観ているよう。物語前半は男と女としても輝いていた安部夫妻が、時を経てつまらない男女になっていく姿に長い長い人生を見て、自分自身の人生と重ね、なんとも言えない切なさに包まれたり、恋愛感情で胸が痛くなってラストの縄田智子さんの慟哭とともに号泣したり。アロッタの作品としては1時間30分と異例の短さでしたが、そこには確実に人生と時代とが描かれていました。欲を言うと、私は松枝さんの持つ独特のフェティッシュ感が好きなので、やはり松枝さんの演出作品が観たいな、と。内田明くんが演じた道化が安部公房を「あべこべ先生」と呼ぶところがなんともアロッタ感に満ちていてとても好きでした。
満足度★★★★★
何度も観たい舞台
現在のこの国の演劇状況と、安部 公房が生き、演劇にのめり込んだ時期から亡くなるまでの10年余の時を、描いた作品だ。当時世界で活躍するピンター、ベケット、イヨネスコらと共に、米ソでも人気の高かった安部が、新劇と言えば、千田 是也と言われた当時、新たな可能性として出現した寺山 修司、唐 十郎ら若者に支持された日本のアングラ演劇状況に於ける単独者として新地平を切り開いて行こうとする姿勢を描くことで、作品そのものを用いた現代演劇批評として観ることができる。
満足度★★★★★
THE演劇
これぞ演劇,質の高い舞台です。最初から最後まで演技に引き込まれていました。とてもとても満足の観劇時間でした。アロッタファジャイナ,やはりこの劇団は外すことはできない。文句なしです。
満足度★★★★★
とてもわかりやす
安部公房ってこういうひとだったんだとわかりやすかったです。
なんとも2人の女性に支えられての大作家なんだなと思った。
佐野史郎さん やっぱり流石です。
照明の使い方で、スムーズに話がすすんでいたと思いました。
満足度★★★★★
安部公房…人間ドラマ
新国立劇場_小劇場、舞台セットは下手に仕事場兼若手女優とのラブ場面、上手は家庭生活と妻との夫婦関係の場面に見立て、同時並行に二人の女性との間を揺れ動く様を観せる。人間、安部公房の魅力が濃縮された公演であった。
満足度★★★★
芸術家の感性というのは、私のような凡人には理解できない
小説から演劇、女性から女性へと「冒険」を続ける安部公房。
しかし、「冒険」と見るのは凡人である我々であり、「冒険」と感じないから、彼らは創作を続けることができるのだろう。
満足度★★★★
情熱と悩みの中で
安部公房は天才で社会的な評価も高い小説家というイメージであったが、演劇に私生活にそれぞれ強い情熱と悩みの中で生きていた別の一面を知ることができて興味深かった。いろんな対比の中で"冒険"が内面的に描かれていたが、ドラマチックな展開があるともっと面白くできたのではないか。
満足度★★★★
脚本がわかりやすく秀逸
それほど、安部公房を知っていたわけではないが。説明臭くなくどういう人なのかも判りやすく。徹夜明けにいっても眠くならない。面白かったと思います。もう一度見に行きます。
満足度★★★★
いくつもの対比を紡ぎ束ねる
戯曲が描こうとするものの要素が、演出の手法とあいまって、舞台上に明確に伝わってきました、さらには、骨組の明確さを支える戯曲と舞台の仕掛けに、役者の描き出すものが、淡々と奥行きをもった生々しさをかもし出す舞台でした。
満足度★★★★
面白く観たけど複雑な気持ち
あの「壁」や「砂の女」の安部公房の晩年って、こんなだったのかなー。
と、面白く、そしてやや複雑な気持ちで見ました。
やや複雑なというのは、良識ある一般人の私としては、妻、夫、愛人といたら、フツーに妻目線で見ちゃうんですよ。笑。
最後まで、私は妻目線で観つつ、舞台は愛人目線で進む。
二人の女の大岡裁判(手を離したほうが本当のお母さん!)のような話でした。←ちがう。
満足度★★★★
自分都合の女好き!
あえて、下種な言い方させて頂きます。
病気も前立腺がんにより睾丸除去。本望ではないですか!
安部公房の私生活を浮彫にしたもので、ノーベル賞に近いと言われた人も私生活はただの人ということですか。自分の欲望のために若い女優を口説いたり、思いとどめさせたりする話術などは唸らせる。
佐野さん絡みか、女優の羽田美智子さん観劇してました。
満足度★★★★
人間くさひ
妻と愛人か…眉をしかめたくなりつつも、ああこりゃ何十年、何百年先も人間(男性や作家)は同じことを繰り返すんだな、と諦めの心境になれました。
うまく言葉に出来ないけど、人間のこういう関係性が、面白いし、本能からの欲求だし、なんだかんだでみんな共感してしまうのだろうし、
人間臭さを十二分に満喫した舞台でした。セリフは良いけど、長くて出にくかったり噛んでしまったりで、ハラハラしました。
…才能に惚れる時って、相当いい匂いするんだろうな。
離れたくても離れられない、麻薬的なフェロモン…嗅いでみたいわー
満足度★★★★
予習して臨むことを推奨
もちろん評伝的な部分もありつつ、現代演劇論を演劇を以て語る部分がスリリングで面白い。
しかもそれが実在した人物によって語られるワケで、観ているうちにどこまで虚構でどこまで現実なのか区別がつかなくなりドグラマグラ状態に…
さらにその演劇論が今の小劇場ムーブメントに繋がるようでもあり、観ていてもう頬が弛んでしまう。
一方、愛人と妻をめぐる面では至ってフツーのオトコで「本当に男ってヤツはしょうがないな…」と。(笑)
上手に自宅、下手に教授室を配置したシンプルかつシックな装置で交互に見せるスピーディーな展開(松枝さんによれば右脳と左脳を意識したとの由)の本編部分を、「クラウン」がガイドを務めるプロローグとエピローグ(と本編の一部)によって締める構造もスッキリして好み。
なお、本編に入った時にPARCO劇場の舞台のような印象を受けたのは予習で西武劇場のことを知っていたからか?
他にもウィキペディアでの予習によりはたと膝を打った部分があったので、これからご覧になる方々には予習することを強く推奨いたいます。
満足度★★★★
噛んでもすごい
“芸術を媒介とした恋愛関係”は、その言い訳も高尚で芸術的だ(笑)
“共通の志を抱いているのだ”という大義名分を信じればこそ、
3人とも長きにわたって気持ちを保てたのだろうという気がする。
家庭と愛人を行き来する自己中な男を、許し愛する2人の女の“縄張り”が
美しいセットと照明によって浮び上る。
理想と現実を近付けようとシャカリキになる中年男の台詞が質・量共にすごい。
脚本家と俳優の力がストレートに感じられる舞台だった。
満足度★★★★
想像とは違いましたが
面白かったです。
他の方も書かれているように、安部公房作品のような内容を期待して臨むと、
あれ違うんだ、という印象から入ってしまうことになりそうです。
その当時に創られていた舞台がどんなものだったか観てみたかったし
その当時の演劇を取り巻く環境がどんな様子だったのか感じてみたくなりました。
叶わぬことですが。
あべこべ先生、今の時代に生きていたならどんなことをやろうとしたのかなー。