視点 vol.1 Re:TRANS(MU×ミナモザ×鵺的) 満員御礼、審査発表をblogにて公開しました! 公演情報 視点 vol.1 Re:TRANS(MU×ミナモザ×鵺的) 満員御礼、審査発表をblogにて公開しました!」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
21-28件 / 28件中
  • 満足度★★★★

    三様それぞれ
    各劇団の表現力と思考が違えばこその個性溢れる舞台だった。とにかく面白い。テーマは「トランス」ということだけれど、どの劇団にも通じる「精神の屈折」の表現具合が絶妙だった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    患者の肋骨を折っていた看護士を描く『スプリー』(ミナモザ)では左手しか動かない患者の虫のような蠢きが面白かったし、患者の動作に対してただただ、「イラっとした」という理由で患者の肋骨を折ろうと企み、ついでに不倫相手にもこうして、あてつけを兼ねる行為をする看護士。一方で患者の担当医ことカサイは厄介な不倫相手と切れようと看護士の人格障害をネタに理由をコネル。笑)
    序盤では骨を折られまいと看護士を宥めたりすかしたりしていた患者はバイク事故での相手を殺してしまった告白をすると、「全ての事は意味がある。これは罰だ。生きているものは全て塊で大いなる物の部分に過ぎない。全ての出来事は繋がっている。君の痛みは僕の痛みだ」などと講釈して、看護士に「それじゃあ、私は私の肋骨を折るわ。」と仕向けてしまう。とんだ展開!笑


    セクシュアル・マイノリティを連想させるキーワードを含む『クィアK』(鵺的)の描写は相変わらずの屈折さ。この劇団の特徴は卑怯なほどの屈折さが売りだと思っている。笑
    ゲイを自称して20年。身体も精神も女が駄目だと思って疑わなかった木谷は女を知ってしまった日から「この女が居ないと生きていけない。」という身体になってしまう。近藤の前では女を奴隷のように扱っていながら、実は木谷の身体は女の奴隷になってしまった。という女に目覚めたゲイのお話。卑屈なほどに女を奴隷扱いしておきながら、終盤の真逆の展開があまりにもお見事!いつも思うことだけれど、平山寛人って「カイジ」に似てる!笑


    臨死体験で感じた光を確かめ合う『無い光』(MU)では「光」を信じて三途の川を渡ろうとしている右手が不能になってしまったイラストレーター・理英を死なせまいと足掻く同級生の男たちを描写する。ここでの最大の問題は同情と単なる組み合わせや配分の誤りによって生じているような気がする。後藤と修造は理英が好きで後藤を好きなのは朝子だ。修造と理英が付き合っていると勘違いした後藤は中学生の頃に自殺を試みた。好きな相手が自分を好きではない。というちょっとした組み合わせの違いでぐちゃぐちゃになってしまう。考えてみればこの世界の問題の多くは配分の誤りによって生まれていると言っても過言ではないような気がする。ただの不均衡で。笑
    更につきつめると、人は断りもなく自分として生まれさせられ、断りもなくその自分を奪われてしまう。だとしたら自殺するなんて回収の手間が省けるだけ向こうの思う壺だ、と思う。



    以上、3つの物語だったが爆発的な屈折さが面白い。短編なので長編ほどの重みはないがそれぞれの嗜好を楽しめると思う。



  • 満足度★★★★

    好企画
    見応え充分。
    観客投票型コンペというのも思いのほか楽しい。
    是非続けて欲しい企画だ。鵺的が想像以上に異彩を放っていた。
    コンペなので各賞はネタバレへ。

    ネタバレBOX

    ミナモザ
    サイコな始まりからいつのまにやらラブコメ(?)へ。
    テンポのいい会話が楽しい。オチはもうひとつ。
    鵺的
    これはR15指定だね。
    席を立つ女性がでるかと思った。
    鵺的は一筋縄ではいかないなぁ。
    MU
    仕上がりきっちり。
    役者のアンサンブルも良かった。
    作品賞:鵺的
    主演男優賞:今里真
    主演女優賞:金沢涼恵
    助演男優賞:平山寛人
    助演女優賞:宮嶋美子
  • 満足度★★★★

    素敵な企画。
    本当に楽しめました!

    三本とも個性あふれて、感覚を刺激されました。
    観てよかった。

    秋澤さんの好演がまた観れてよかった。

    ネタバレBOX

    三本とも素晴らしい。

    でも一番感情を動かされたのは『無い光』

    ハセガワアユム氏は感情を動かすという事を知っていると感じました。
  • 満足度★★★★

    意義深いコンペ
    ハセガワさんの企画力と、舞台芸術振興へのつよい意志を感じた、すばらしいコンペティションだ。
    ミナモザ『スプリー』は、キャラクタ造形と展開がやや粗く、性急な印象。最後に見えてきたテーマを、もっと時間をかけて見せるべき作品だったのではないかと感じた。というか、時間をかけて見たかった。
    鵺的『クィアK』は、純文学作品にできそうな深い色。役者の身体に落とし込んでしまうと、もしかしてスキルによっては世界を崩してしまうかも。たったひとりの女優が異質な存在感でもう釘付け。あとからじわじわ思い出してしまうタイプの作品。
    MU『無い光』は、まずタイトルの引き込みが秀逸。『トランス』へのオマージュとして、誰が演じてもある程度の強度を保てるだろうと思える普遍性を持った作品はこれだけだったように思う。俳優陣も、どたばたしてきっちり笑わせるテクニックを持った方ばかりでした。

  • 新しい合同公演。中身は傑作揃い。
    最初はタイトルと副題と団体名の多さから正確に理解していなかったが、「視点」というコンペティションシリーズの、「Re:TRANS」がテーマの興行とのこと。
    合同公演といっても、劇作をする1ユニットが主催者になり、投票も行い賞を設けるコンペティション形式、ということでどういうものになるのか気になっていた。もしや新しい公演形態の走りになるのではないか、という期待も含めて。
    公演の形態としての是非は、結果発表を含めてなので追いながら見守り、勉強させてもらおうと思うが、こと内容に関しては初日から紛れもなく傑作揃いだった。

    狙ってなのか偶然なのか不明だが、共通で扱われるモチーフである「心の傷」だけでなく、ミナモザ→鵺的→MUという順番含めて、非常に統一感のあるイベントで、見る際のテンションにも合っていて心地よかった。

    ネタバレBOX

    ミナモザ『スプリー』は、翻弄される主人公(男)はもとより、愛しすぎるがゆえに屈折した表現をしてしまう女医の狂気が良い感じにデフォルメされていて、軽妙なやり取りが一つのコメディとしてすごく面白かった。
    だが、前半が一気にコント寄りのコミュニケーションに振り切れた結果、終盤の男が「罪」と「赦し」の語りに入る瞬間の違和感・段差のようなものが気になってしまった。一瞬そういうギャグなのか?と疑ってしまう感もあった。
    余談だが、昨年上演された際にチラシで衝撃を受けたものの観られず気になっていた『エモーショナルレイバー』の再演の仮チラシを見て「エモーショナルレイバー」の意味を知り、俄然興味が沸いた。このテーマを、この設定で、この会話で見せてくれるなら、と期待が高まる。

    MU『無い光』は、いろいろな物を実名出してディスるし、平気でシャブ吸うし、終盤はスピリチュアルなものを否定して切って捨てる結論に至りながらも、やはり最終的に作品を貫くのはハセガワアユム氏のヒューマニズムであり優しさ。
    「『光』なんて無い」と言い切る後藤(ライター)のスタンスや、その姿から描かれる「人と人の関係性こそが希望である」という結論が嬉しいし安心できる。
    また、後藤が、自分の作品(記事)でもって愛しい人物の個人的な問題を救おうとする姿勢は、あまりに甘く・恥ずかしく・臭いながらも、創作者なら誰もが夢見る希望だったりするので、そこを惜しげもなく出してくるところが心憎い。
    以前、MUに対する劇評で「やはり僕はMUの演技スタイルは、描こうとしているものの実直さに対してコミカル過ぎると言うか、親切過ぎる印象を抱いている」(DULL-COLORED POPの谷賢一氏)というものを見て、自分も「うん、たしかにそれはそうかも」と思っていたが、今回は切実なテーマとコミカルなやり取りが「甘いけど憧れちゃう優しい結論」によって結実しているように見えて、MUのスタイルの意味がハッキリと伝わった。こういうことだったんですね。
    なので、もちろんMUの全作品を見ているわけではないが、自分の観たMU作品では最も好きだった。
    確かに3作品のトリに位置しているし、休憩も挟むし、前2作品を受けて~のような脚本ではあるものの、それを差っ引いても一つの短編作品として素敵だった。自分は1位に(なるっぽく)投票した。
    そして、非常に僭越で勝手ながらも「パンクな姿勢」と「人への優しさ」という両面こそ、劇場でお話させて頂いても文章を読んでも感じる、まさにハセガワアユム氏の姿そのものじゃないか、とも思ってしまった。

    投票の仕方について少し言わせてもらうと、劇団ごとに投票する欄で、各劇団に三項目の中で一つずつ丸をつけるというのが選びづらかった。三部門についてそれぞれ劇団名を書かせるスタイルの方が選び易いし勝負っぽくなるのでは、と思った。
  • みんな頑張ってた。と、思う。
    諸事情で観ておかなきゃいけなくなってこの世で一番見たくないここを観ることになりなおかつ当日券で。そういう意味でいい思い出です。

    上演順に思ったこと。

    ネタバレBOX

    1:ルックスが中途半端すぎてもう。
    そんなに、恋するほどの魅力を感じ得ないですよ。あれですか?いまどき、中途半端な顔で好きだ嫌いだやっちゃいますか?だめですよ。
    お客さんお話に入っていけませんから。
    とにかく、3人とも下手すぎて・・・。病室には到底見えないし。なにも見えてこないし。

    2:ドS芝居=あのトーンっていうね。響くセリフも皆無。
    一番余裕もっててくれないと困る、だいたい右側にいた男優が
    終始あっぷあっぷでへたくそ。抑揚を気持ちよさそうに決めるたびに失笑。

    3:今回はどちらからパクって来たんですか?ってくらい浮いていた。
    台本 演出 役者 もろもろすべてバランスが悪くて浮いていた。
    サイズに合わないでかい声で話す女優が元凶かしら。

    投票って・・・意味不明。
    みんな、はせがわさんに投票すれば納得して諦めてくれるよ、きっと
  • 9月22日(水)S
    三者三様に面白い。「トランス」ネタがまぶしてあって嬉しい。

  • 観劇
    全て上質でしたが、個人的にはミナモザさんが、一番好みです。
    短編の難しさも垣間見えましたが。

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