★★★★人が記憶するということとは

三鷹での前回公演の多くの出演者で大きなストーリーを成功させ、今度は劇団員だけで、それも楽園という小さな空間で、もう一度自分たちは何故このメンバーと芝居をするのかということを再確認するかのような、コンパクトながらも凝縮された作品でした。

★★★柔らかな記憶

初カムヰヤッセンでした。
近未来SF風味が意外に感じましたが、それがメインなのではなく、登場人物の気持ちを追うための一要素として上手く組み込まれていたので良かったです。
クライマックス部分、私は展開が読めてしまったのですが、人の記憶というものがいかに大切で曖昧で柔らかく暖かいものであることが伝わってきました。

★★★温かい小品

記憶を外部化し、保存・編集できるようになった近未来の物語。消去されてしまった記憶はどこへ行くのか、家族をつなぐ絆を復活させることはできるのか――。
こじんまりした空間で、劇団5人だけで挑んだ小品。
やさしい雰囲気の漂う作品で、かつ丁寧に作られているなと感じました。



★★★気づきの瞬間、肌に振動を感じた

 近未来の日本の地方都市を舞台に、ある科学者とその家族らの数日間を描きます。ヒトの記憶をめぐるSFで、設定をわかりやすく説明してくれるので難解さはありませんでした。

 言葉の意味や感情に忠実なタイプの演技方法ですが、セリフの背景となる過去の事実や現在の気持ちなどがはっきりとせず、役者さんの演技の精度の低さが気にかかりました。例えば若い夫婦が私には「夫婦」に見えづらかったです。あとは舞台中央奥に可愛い花(サザンカ?)があるのに季節が肌では感じられなかったり、出演者5名(=登場人物5名)以外の人々を想像しづらかったり。
 でも、装置と演技が一変するクライマックスの場面が素晴らしかったです。その一瞬間のためにこの作品があったと思っても、不満はないぐらいでした。

 折り込みチラシを挟む紙(帯と呼んでみます)が劇団手製のものでした。作り手、観客、そしてチラシそのものも大切に思う気持ちを受け取りました。ひょっとこ乱舞の手製帯もパンチが効いていてかっこいいですが、カムヰヤッセンの帯は穏やかな優しさが伝わってきますね。その精神が作風にもあらわれているのだなと思いました。

★★★★劇団員の成長ぶりがうれしい。

番外公演、そして劇団員だけの公演ということがあってか、肩の力が抜けた感じ。カムヰヤッセンのいいところが凝縮されたような芝居になっている。カムヰヤッセンお得意の近未来SF仕立てになっているが、中身は家族の物語。ほろっとさせどころが上手い。

主宰の北川大輔が役者としてもいい味を出しているが、やはり4人の役者が魅力的。それぞれがいい役者に育ってきた。

細部に荒削りなところがあり、まだまだ成長過程だが、今後を期待させる劇団だ。

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