海のない島 公演情報 劇団B♭「海のない島」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    約30年ぶりの再演、しかし その内容はどんなに時を経ても色褪せることはないだろう。現代と昭和20年を往還し、改めて戦争の悲惨さと平和の有難さを訴えた公演。その観せ方はコミカルとシリアスが混じり、飽きずに考えさせるといった印象だ。時に 舞台となった沖縄戦、その地元踊りと地唄を披露し観せ聞かせ楽しませる。

    何度も繰り返される「青く青く静かに光る海を見ながら」、その台詞こそがタイトル「海のない島」と対になっているよう。物語は、或る1日のTVのニュース番組から始まる。いつの間にか時間と場所を飛び越え 戦時中の徳之島へ、登場するのは ひめゆり学徒隊と特攻隊員、その悲しいまでの話が紡がれていく。公演は、物語の中だけではなく、この思いを忘れることなく 我々観客が語り継ぐことを訴えている。
    (上演時間1時間55分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術…後景は黒平板に黒角材を打付け、上手 下手は夫々階段状にし花飾りを置く。
    舞台技術…現代は穏やかな波の音、優しいピアノの音色。一方 戦時中は機銃・爆撃音、照明は赤く染まり緊迫感を出す。

    物語は、TV報道番組で最近 鏡の盗難事件が連続して発生している といったニュースを伝えているところから始まる。その特集取材のため徳之島へ。現代は不可解な事件を追い、終戦間際は ひめゆり学徒隊の少女達、特攻隊の青年達の記憶をよみがえらせる というように時代を交差して描く。砲撃から逃げ惑い、特攻出撃までの緊張感、50年間同じ悪夢を繰り返しみる苦悩。海上は敵艦で埋め尽くされ真っ黒、そのため きれいな海が見えない。

    少女達の思い…鏡を粉々に砕き、その欠片がキラキラと光り海を照らし出す。悪夢を終わらせ新たな未来(希望)ある夢をみたい。それが繰り返しの台詞「青く青く・・」である。青年達の思い…特攻出撃した際 上空から投げた花、それが根付きお花畑になり脈々と咲(生)き続ける。そのためには手入れし大事に育てなければ。その思いを受け継いだのが、今回取材を受けた老女 徳田さち。

    現代のTV関係者 筑紫炭鉱や滝川・クリス・テル子、そして徳田さちのコミカルな描き、一方 戦時中の少女・青年達のシリアスといった描きで 敢えて観せるために硬軟使い分けているようだ。だから過去の少女・青年役は現在のTV局のAD等の一人二役を演じるが、コミカルさは観せない。現代の奇妙な事件と沖縄戦を抒情的に結び付ける。
    死んだことは、ひめゆり学徒隊・特攻隊という言葉で知られているが、彼女 彼らが生まれ生きていたことは忘れられている。「言葉」だけの美辞麗句に対する痛烈な<思い>が綴られているようだ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2024/10/05 13:15

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  • このたびはご観劇ありがとうございました。
    物語を丁寧に追ってくださったこと、心より感謝申し上げます。
    我々も意図を汲んでいただけて嬉しいです。
    精進してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
    劇団B♭ 制作 鈴木

    2024/10/13 08:29

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