悼むば尊し 公演情報 かわいいコンビニ店員 飯田さん「悼むば尊し」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★


    王道の青春モノである。ただし、装いは現代風、若い観客が満席で入っている。若い女性客がワンワン泣く。生きている者は、死んだ人の分まで生きなくちゃ、というようなチェホフもどきの台詞が決め所で使われている。へぇー、今の子も純情なんだなぁ。
    小さい頃から母子家庭の家の二階を溜まり場にしていた同級生たちの群像劇である、男五人、女三人。二コマほど、高校を出たばかり頃までの悪童ブリがあって、そこでは、いじめが仲間の共同意識を作っている。万引きやいじめも仲間意識を醸成するが、一方では嫌悪感も持っている。いつの世も変わらぬ複雑な青春像の中に巧みに今の風俗を交えてなかなか上手く書けている。一年がたち、さらに年がたった頃、いじめっ子の音頭取りだったこの家の息子が自殺する。なぜだ。と、それぞれ、その理由を憶測する。溜まり場だった部屋を整理しようとなって、母親が同級生たちに声を掛ける。彼らは二〇才を過ぎている。それぞれ仕事を持っていたりする。皆たいした仕事には就けていない。そこも非常に上手い。
    お互い傷つけ合い慰め合った思い出の中で、それぞれが自らを浄化していく。
    これを他の仲間が見ている場でやるのが上手い。又その中で、今の世の中の生きづらさも鮮明に浮き上がってくる。誰かとつながりたいのだけど果たせないもどかしさと不安が彼らをバラバラにしている。
    ワンセットだけで時間が経過していく青春モノらしい話の運びだが、そこには現代のつらい青春が反映している。


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    2023/10/10 21:12

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