サウイフモノニ・・・ 公演情報 劇団チョコレートケーキ「サウイフモノニ・・・」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    愛と引き換えに
    宮沢賢治の童話「グスコーブドリの伝記」を題材に宮沢賢治自身が深く科学技術に係わっていたこともあって、科学者、研究者の生き方について綴られ、深く考えさせられた作品だった。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    イーハトーブの森に木こりの子どもとして生まれ冷害による一家の離散や火山噴火、干魃などの苦難を経験して育ったグスコーブドリがイーハトーブ火山局の技師となり火山噴火被害の軽減や人工降雨を利用した施肥などを実現させる。

    しかし、その技術を兵器として軍事利用しようと企む軍はクーボー大博士率いる技術者に技術開発の為の国防費からの資金援助を提案する。資金援助を受ければどういうことになるか技術者らは解っていながらも、「我々科学者は人々の幸せの為に開発をすればいい。豊かな資金がなければ開発が遅れてしまう。」というブドリの強い推薦によって資金援助を受けてしまう。

    使っても使いきれない予算の中で、やがて科学者らは自分たちの置かれた状況に麻痺してゆく。このように、科学者というものは開発の為にもっと、もっと・・、と引き下がる術を忘れてしまうのだ。資金の面で軍を利用したかにみえるが、逆に技術者らは軍に利用される結果となってしまう。いつのまにか科学者たちを支配する軍とそうされまいとアガク、科学者としての明暗の別れ道だ。


    やがて、ブドリは27歳の時、冷害の再発を目の当たりにして苦悩しながらも、カルボナード火山島を噴(ふ)かせるという最後の一人となって世の中の人たちへの愛の為にわが身を犠牲にする。

    残された科学技師らと共に開発に関わっていたペンネンをクーボー大博士は解雇してしまう。この後に予想する軍の行動に対しての予防策だった。残ったクーボーは案の定、軍の兵器開発に協力しなければ軍の大義によって抹殺すると軍から告げられる。しかし、クーボーは軍からの要請を拒否し人間と世界の為に命を引き換える。これも大義だ。

    そして「男」はここでのナビ役を担う。男は幼くして父を失った傷を心に持ちながらも父を慕い、同時に父を憎むが、ブドリの小説を書くことによって次第に父に対する自分の愛情を確信してゆく。


    全てのキャストの演技力が実にお見事だった。粒ぞろいのキャストらだったお思う。科学者と家族愛のなかでブドリは揺れ動くも人間は家族に囲まれて生きるのが幸せだと結論づけてるように思う。ブドリの一生を通じて関わった人たちを一人のキャストが複数の配役を担うが、全く違和感はない。全てのキャストらに拍手を送りたい。特にペンネンの役を演じた菊池敏弘の演技は秀逸で鳥肌が立ったほど。導入音楽も照明もいい仕事をしていた。全てにおいて職人技!素晴らしい舞台を観られて幸せでした。

    ブドリの妹ネリの言葉「兄は人間と世界を、そして自分自身を愛していた」とのセリフが心に響く。

    4

    2010/06/20 13:44

    0

    0

  • ゆーすけ>
    役者も脚本かも演出家も大変ですね。ここまでっていうラインがなく、観客は常にもっともっと・・と期待してしまいますから。
    それでも確実に腕をあげてらっしゃいますチョコレートを見ていますと、自分のことのように嬉しいのですよ。

    はい。勿論、次回も期待しまくり!(プレッシャーかけすぎ?笑)

    2010/06/28 17:11

    みさ様

    そういって頂けると、ホントに嬉しいです。
    10月は更に上質な物を目指します。

    今回とは違う方法で。


    ご期待ください。

    2010/06/28 14:17

    ゆーすけ>
    こちらこそ、毎回素敵な舞台を拝見させて頂きまして、大変感謝しております。
    キャストも勿論、素晴らしいのですが、それらを練り上げた本やら演出も同じように素晴らしかったのですよ。申し送れましたが・・。

    今まで拝見させて頂いた過去の公演の中で一番、素敵でした。キャストも。
    はい、次回も勿論、拝見させて頂きますね。
    この度は素敵な舞台にめぐり合えて幸せでした。。

    2010/06/24 21:56

    素敵なコメントありがとうございました。

    おっしゃる通りキャストが素晴らしかったので、素材をいかに生かすかをいつも念頭に置いておりました。その面で、キャスティングはうまくいったかな、と。

    内容についても、お客様のお話を聞く限りでは意図していたものが伝わっていたので、こちらも一安心しております。

    いつもコメントいただき、とても励みになります。今度は10月。
    また是非お越しください。


    ご来場本当にありがとうございました。

    2010/06/24 15:29

このページのQRコードです。

拡大