実演鑑賞
満足度★★★★
約2週間前に体調不良で降板が発表された三谷建秀氏。代わりに脚本・演出の霧島ロック氏が浜辺のバーのマスター役を兼ねた。これが流石に何の違和感もないもので、三谷氏バージョンだったらどういう構想だったのか気になるところ。
東京から田舎の海辺の家に独り越してきた元女医・市橋一花(もなみのりこさん)。寺島しのぶを思わせる凛とした独身女性。元同僚(天野弘愛さん)とその息子(岡野屋丈氏)、元患者(はぎこさん)が遊びに来る。更にリョウと云う男に会いに訪れるフリーライター(岸本武亨〈たけゆき〉氏)や勝手に家に入ってくるイケメン久右ェ門(花井祥平氏)。彼女に密かに恋する地元の床屋(?)の斉藤太一氏。記憶喪失のインド人ジョニー役の香月健志氏は最高だった。
何の変哲もない数日間で綴られるのはまさに文学で、作家の創作意図の深さに驚く。誰もが誰かに赦されたがっていて、一体何をすればいいのか判りはしない。けれども何かをせずにはいられない。この物語の全体像が見えた時、観客はこらえきれぬ涙を零す。是非観に行って頂きたい。