ひみつのアッコちゃん 公演情報 劇団ガソリーナ「ひみつのアッコちゃん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    真摯な人ばかり
    街の片隅にある小さな情景を積み重ね、やがて街そのものを描くという気宇壮大な構想を掲げていた、ここ数年のメトロポリス・プロジェクト。これには佳作もあったのだが、全話を鑑賞できるのは演出家だけだろうという疑問も残った。
    しかし今回は違う。1話で完結(継続しようにも劇場自体が閉館するが)、後腐れなし。『デビルマン 不動を待ちながら』以来の満足を感じた。

    世代を越えて話題をさらっている映画『ひみつのアッコちゃん』の主人公を決めるオーディション、最終面接に残ったのは5人の少女。これはその中からたったひとりを選ぶ過程を見せる作品だった。

    ネタバレBOX

    中盤過ぎまで、シンデレラガール候補の親たちに対する面接シーンで、ここにいる目的も動機も異なる彼らとその娘が、いずれも「落とす理由のない人たち」である様子を描いてゆく。ここまでで面接される側のキャラクターに対する好感度が十分に高まっており、誰が選ばれるのかと終盤まで期待が持続した。いわゆる「悪人の出てこない話」には作家の都合が優先される展開の予定調和に不満を感じる場合が多いが、これは幕切れを楽しみに待つことができた。

    そして終盤に、もうひと押し。監督と脚本家で示し合わせた、12番めのプロットが語られる。ここで、光り輝いているが選び切れないナンバーワンの主役候補に隠れて、目立たないが余人を以て代えがたいオンリーワンの脇役候補が初めて存在を明かされる。監督と脚本家が「今の子供は何になりたい?」という制作の意図を実現するにはその脇役こそが真に必要で、そんな相手役がいるからこそ号泣するアッコちゃんの苦悩を映画で見たいと思えた。
    説得力ある台詞、鮮やかな展開だった。

    選ぶ側の5人のうち、監督と脚本家以外の3人について立場と事情の描き分けが乏しく、彼ら3人の内部対立が盛り込まれていたら、さらに満足できたかなと思った。

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    2009/07/17 12:54

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