アナと雪の女王 公演情報 劇団四季「アナと雪の女王」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    第一幕70分休憩20分第二幕55分。

    センター最前は4列目から、サイドは3列目から。
    マスクをしないおばちゃんをひたすら説得している女性係員の受難。
    劇団四季ビギナーには今作が一番良いと思う。普通に誰が観ても面白い。チケットは高いし取りにくいが、小学生の娘さんなんかに是非観せてあげて欲しい。「ミュージカル最高!」な気分で帰れる筈。実際、ミュージカルは死ぬ程面白いもの。子供の頃に味わったあの感覚は人生の底流に流れ続け、この世界への根拠なき肯定感にきっと繋がることだろう。

    開幕早々、少女時代のアナ(三上さくらさん〈8歳!〉)とエルサ(服部菜々美さん〈『LADYBIRD,LADYBIRD』2019を観ていた!〉)の歌声が余りにも素晴らしく、ガチガチに本気の作品だと身構えた。2.5次元の気楽な感じではなく、真剣にあの映画を舞台で再現しようとしている。どこまでやる気なのか?映画が世界的大ヒットの誰もが知っている名作なだけにその心意気に興奮する。氷の魔法の表現の美しいこと。
    大人のアナ(三平果歩〈さんぺいかほ〉さん)がまた凄い。これだけ歌が上手いと気持ち良いだろうなあ。触れるもの全てがメロディーになるミダス王のような。服を着替えたりアクロバティックなダンスを踊りながらも変わらぬ完璧な歌声。口パクかと思う程の完成度。
    大人のエルサ(岡本瑞恵さん)は第一幕のラストに皆が待ち焦がれた「レット・イット・ゴー~ありのままで~」が炸裂。青いドレスに一瞬で早変わりするその刹那、ゾクゾクする名シーンが。
    中野高志氏のスヴェン(トナカイ)も素晴らしい存在感、瞬きが優しい。
    子供が一番盛り上がるのは、小林英恵(はなえ)さんのオラフ。操る人形と同じ表情をしてみせてくれる。
    オーケン(竹内一樹氏)の伝えるヒュッゲ(デンマーク語ノルウェー語で「居心地の良い快適で陽気な気分」なライフスタイル)も作品の奥行きを拡げる。
    三上さくらさんは隠れびとのアンサンブルも(多分)兼任。紛れもない天才、必見。

    プーチンのウクライナ侵攻のニュースを散々見せられている時なだけに、鳴り止まぬカーテン・コールとスタンディング・オベーションは目の前の舞台に向けたものだけではなかった。愛(他者への無心な思い遣り)が恐怖(自身のエゴと欲望)に打ち克つ寓話への超自然的信仰心に近い魂の昂揚が確かにあった。

    ネタバレBOX

    第二幕が駆け足でちょっと残念な感じもある。
    誰が歌っても、松たか子さんの「レット・イット・ゴー~ありのままで~」が一番耳に残るのは声質のせいなのか?ずっと不思議に思っている。
    ちなみに『アナ雪2』は同時期に公開された『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』と話の構造がそっくり(祖父の過ち、一族の過去の精算、選ばれた血統の意味。)で、ディズニー製作によるポリティカル・コレクトネスの弊害を感じた。余りに正義への制約が多過ぎて、やれる行動が限られてしまう。頭でっかちな正義も噓臭いもの。

    アナの無邪気で自然なあどけなさ、やはり誰もが連想せずにはいられない神田沙也加さん。
    神田沙也加さんが亡くなったことを知った日、SIONの名曲、『信号』の一節が頭の中をぐるぐる廻り続けた。追悼。

    彼女はしあわせになった
    雪がたくさんつもった夜に
    溶けてなくなるその雪を
    眺めていたのは誰

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    2022/02/28 17:31

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