鑑賞日2019/06/20 (木) 19:00
19:00の回(曇)
18:00受付、整理券あり、18:30開場、対面の座席、手前に。
こちらは初めて、ムーブメントに下島礼紗さんのお名前、どのようなお話かとみてみたらザミャーチンの「われら」とありましたので観に来ました。大昔、講談社文庫版を買いましたが長年完読できないまま。
SF作品+下島さん=観よう、ということで。
陰鬱な「部屋」、ぼやけた視界、椅子に座らされた女、目隠し、手錠と鎖と手帳、左胸にナンバー、天井にシーリングファン、いかにも尋問部屋風景。大きな赤い風船、上手にみえる小窓。
19:01前説、開演~21:14終演。
SFの衣の下には人類の所業(歴史)が透けて見える。原作が生まれてからから100年近い。
同年代だと「R.U.R」(こちらはよく上演される)でしょうか。
素材と手法、それを活かす演出と役者さんたち。
謎の「窓」。
今もどこかにあるのではないかという確信と核心。
帰宅してから原作がどこにあるのかわからなかったので図書館で借りることにしました。こんどは読了できるような気がします。
こりっちで過去公演を(お名前で)検索してみると
可児奈穂子さん。「大型」2016/8。
田村真帆さん。「僕らはいつもふわふわ中毒」2018/6、「明日になるまえに」2018/2。
吉村京太さん。「ミラクルスーパーマーケット」2011/8。
千葉哲也さん。「青」2016/9演出。
追記
図書館から借りた原作(集英社版、小笠原豊樹さん訳)読了。意外とすんなり読み通すことができました。
内容は時代を反映しSF的科学技術面からは??な部分ばかりですが…。
※大量絶滅してからそんなに早く宇宙旅行できるのか...とか。
一糸乱れない原生生物のような(われら)存在と(わたしたち)現実の歴史/現在とが重なって見えてきます。
読書と異なり五感に直接届くもの、狭い空間での演劇だから反響して戻ってくるもの、特に本作では秀逸であったように感じます。
左右の対比(だから対面席)と客席へ吸い込まれるような一本の縦路、小窓から覗いているだろう存在の気配、自由が持つ閉塞感。
劇中の大きな「音」は、観客といえども気を抜いていたら「この世界」では異端者とみなされるのだ、と警鐘を鳴らしているようにも思えてきました。
故A.C.クラーク「都市と星」は閉ざされた世界「ダイアスパー」、そこから外の世界へとぴ出す「アルヴィン」を中心としたお話ですが、「われら」と微妙に符合しているように感じました。
鐘下辰男さんは桜美林の公演で作演出がありますが
今までダンス公演(たいていはPRUNUSで)ばかりで演劇は未観。こんど機会がありましたら。