満足度★★★★
ジエン社の特徴の一つに複数の時空間が重なり合い、その中で複数の会話が混線しながら展開する過剰な同時多発会話がある。これまでの作品の多くでは、あり得た別の可能性を描き、あるいは過去/現在/未来を並置して見せるために同時多発会話は用いられてきた。今作ではそこに「所有」というテーマが重ねられ、領有や居住、共存の可能性に関する思索を誘うものになっていた点にジエン社の進化を見た。土地と人をめぐる思考は震災後の日本を描き続けるジエン社がたどり着いた必然であり、排外主義の蔓延する現在の世界に生きる私たちにとっても避けては通れないものだろう。
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2018/06/15 02:58
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