青春超特急 公演情報 20歳の国「青春超特急」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    青春期の悩める人物像に寄り添う、そんな等身大で描いた青春群像劇。
    焦燥・不安と希望・充実という混沌とした状態が若者のエネルギーとしてスタイリッシュに描かれ、観終わった後に爽快感のような余韻が…。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    セットは、パイプ机・椅子で教室内をイメージ。冒頭の配置は、下手側に机・椅子を下手奥に向かって斜めに置き、その先に椅子をゲージ状に宙に吊るしている。その奥にミラーボール。シンプルなセットであるが、配置を変えることで高校生活における情景・状況が浮かぶよう工夫されている。

    物語は高校3年生、卒業間近に控え卒業式に出る出ない、将来どうするのかという近々の進路を話しているところから始まる。部活動、恋愛という高校・青春期の定番の話題を散りばめ情熱や甘酸っぱい気持が伝わる。いつの間にか話は高校入学時に戻り、順々に高校生活が展開していく。部活動では負け続けても諦めない事、勝利を味わいたい”力(過程)”が大切である。恋愛では一緒に過ごした何気ない日々を忘れないで、忘れない、いや忘れてもまた思い出を作れば、といった台詞が抒情的に聞こえる。人生という片道切符、人はそれを持って一生懸命に生きる。その瞬間瞬間、隣にいる人に助けてもらっているかも…。綺麗ごとのような台詞に聞こえるが、劇中での「部活動」「恋愛」という青春期の普遍性に代表される場面では説得性があった。
    ”青春期”は案外早く過ぎて行く、その意味でのタイトル「青春超特急」はしっくりするし、その観せ方もアップテンポであった。

    青春期という不安定は、セットにおいて表現されていたように思う。机や椅子の上での演技、時にはその上を歩くなど不安定な場所での演技が気持の表れのようだ。また上り下りの動作が躍動感を生み、青春期というエネルギーを感じさせる。所々に歌を挿入し、場の盛り上げ若者の気持の高揚感を示すという演出も巧みである。

    演技は動作も良かったが、青春期の若者…その行き場のない苛立ち、衝動、力強い決意、淡い甘酸っぱさが伝わる表情が上手い。ラスト、卒業式での答辞は長台詞であるが心魂震える様な言葉の数々、掬い取って持ち帰りたいと思うほどである。また卒業時に見られる呼び掛け、役者同士の息の合った発声が見事だ。
    ちなみに、”水戸”という地名を出すなど、東京近県というリアルなシーンもあったが…思い入れでしょうか?

    青春劇は卒業とのことでしたが、次回公演も楽しみにしております。

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    2018/04/28 10:32

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