青春超特急 公演情報 20歳の国「青春超特急」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    以前、国王の竜史さんが客演した他劇団の舞台を観て、とても興味を惹かれた。
    無駄のない台詞と構成の上手さ、そして熱量の凄さに圧倒された。
    “青春を懐かしんで”演じているのではない。
    “青春真っ只中感”満載で、全員が突っ走っている。
    オバサンはその超特急に同乗し、ラスト、フラカンの「深夜高速」で号泣したのだった。

    ネタバレBOX

    スチールの机と椅子が並ぶさっぱりした舞台。
    オブジェのように椅子が積み重ねられた一角がゲートのようになっている。
    この机と椅子を巧みに移動し、重ねることで場面が変わる。

    卒業式当日、3年間の思い出をたどる超特急に乗って時間を遡る構成。
    文化祭や部活、恋、進路などに燃えつつ揺れるいくつかのカップル、
    青春ど真ん中を行く彼らの姿が大人目線でなく、臨場感たっぷりに描かれる。

    斉藤マッチュさんの“登場しただけでキャラが見える”たたずまいが素晴らしい。
    他の劇団で何度も観ていたが、身体能力の高さを発揮するダンスや
    ハスに構えていながら、いい子ぶらずに母親思いをちらりと見せるのもいい。
    ラスト、千里(山脇唯)との電話のやりとりに温かさと清潔感があって大好きなシーン。

    鉄男(岡野康弘)のキャラが秀逸。
    鉄道をただの乗り物として眺めていた物静かな彼が
    「人がいて初めて鉄道は生きる、と気づいたんだ」と語るところ。
    恋やたばこ、ゲーセンやカラオケには縁の薄い彼が
    ひとりで哲学して、孤独のうちに成長していく様に感動を覚える。
    こんな全力疾走もあるのだと気づかされる。
    発車を告げる駅員のアナウンスとのギャップも素晴らしい。

    野球部の丸山(古木将也)の最後の語り、泣かせるなあ。
    こんな風に一生懸命になる高校生がどれほどいるかわからないが
    なんて純粋な気持ちなんだろうと思う。

    説明的台詞無しに豊かなキャラを立ち上げる竜史さんのセンスが光る。
    この青臭さ、要領の悪さ、全てが愛おしく輝いている。
    20歳の国に行かなければ絶対観ることのできない景色を観た思いがする。
    フラカンの「深夜高速」をありがとう!
    もうそれだけで泣けてもうた。


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    2018/04/20 02:23

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