毒おんな 公演情報 椿組「毒おんな」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/02/05 (月) 19:00

    座席1階1列

    (この公演の目玉は、何と言っても小泉今日子の芝居をザ・スズナリで観ることにある。
    新国立でも、東京芸術でも、世田谷パブリックでも、紀伊国屋でも、シアターコクーンでもなく、さりとて、本多や吉祥寺パブリック、座・高円寺でもない。
    ザ・スズナリだ。
    そして、1日2公演の日も含めて13日の長丁場、計19回の公演、休業日なし。
    さすがというか、チケットは順調に売れて、私は5回目の公演を拝見。まだまだ先は長いので、正念場はこれから来るのだろう。
    小劇場の舞台はきつい、主役は特に。それも完売を見込めば(彼女のバリューを考えれば十分に見込めたはず)、本多劇場での開催も可能だったろうにと思う。

    さて、せっかくの機会ということで、最前列の真ん中に陣取って、小泉劇場に浸ることにした。前3列が自由席で、4列目以降の指定席より1000円安い。椅子ではなくベンチなので、お尻が痛いのと、明日の置き場に苦労するのと、背もたれがないつらさを我慢すれば、お得な席だと思う。至近距離1.5mの小泉今日子さんは、確かに役者としての虚飾も飾りっ気もなく、それでいて明らかにあのキョンキョンでした。



    ネタバレBOX

    母親の悪意と嫉妬によって、自らの大切な肉親(父親と叔母)を亡くした、主人公の秋野楓。誰も愛せない体質を培養させ続けた彼女は、自らに虚飾を施し、男を誑かし騙しながら、お金を貢がせ、男を殺していく。

    先日、オフィスコットーネの「ヨル、ナク、トリ」で、保険金殺人をする看護師たちの舞台を観たが、こちらは戸惑いのない純粋性がすがすがしいほどだ。

    途中、現実と彼女の回想(母親と父親、叔母との)が、同じ舞台上で交錯して同時進行で描かれるのだけれど、その2つの世界を一杯のコーヒーで結び付け、彼女に忌まわしく取り付いている爛れのようなものの描き方がうまい。この描写があるとないとでは、秋野楓の心象風景を理解するのは難しいだろう。
    それに、北海道の過疎地、ラストに語られる雪原に隠れた死体の幻想、これも心象風景としての降雪、そこで積み重ねられる死のイメージと、深紅の血糊。

    小泉今日子さんは、これらを淡々と、それでいて一身に受けながら、自ら毒をまき散らして、けして反省などすることないことを仄めかしながら秋野楓演じています。

    秋野楓は偽名。少しずつ過去を改ざんしながら、自身の存在証明を作り続ける彼女には、確かに気高い純潔性さも感じるのでした。

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    2018/03/06 11:27

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