テンペスト 公演情報 劇団つばめ組「テンペスト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    旗揚げ10周年を迎える劇団つばめ組が上演するのは、シェイクスピア最後の戯曲テンペスト。自分は未見であったが、こういう劇なのかと呆れ驚いた。前説によれば「テンペスト」を邦訳すると「嵐」であり「バカ騒ぎ」になるらしい。粗筋からすると前者「嵐」のような気がするが、この公演の描き方は後者「バカ騒ぎ」に思える。その捉え方によって観客の好みは分かれるだろう。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、中央の平台、左右に階段があり、上手側に窓。物語の構成は二重構造のようで、一方は悪意、他方は善意といった結末の違うもの。どちらも新しい世界であるが、人生の儚さはどちらも同じで夢か幻のように描く。

    説明から物語は、ナポリ王アロンゾーとミラノ大公アントニオーを乗せた船は嵐に遭い難破するが、それは元ミラノ大公プロスペローが妖精エアリエルを使い起こしたものだった。十数年におよび復讐を目論むプロスペローだが…、といった内容のようだが、その面白さは伝わらなかった。
    この劇は,嵐の場面から わずか数時間のことを描いているに過ぎないらしい。だから観客にとって、劇の中で進行する時間と現実の時間とは一致して観える。眼前の出来事は観客の生きている現実の時間と並行して同時進行していく。しかし、そこに劇的効果として文明発祥の歴史が観えてくるはずなのだが…。

    印象としては、歌謡番組のパロディ、ゲストの音楽(商品)紹介シーンを劇中劇として挿入し緩い笑いを誘う。しかし、これが思いのほか長く感じられ、本来の物語の面白さを損ねたと思う。酔いの3人組、その台詞も聞き取り難く、ここでは何を表現したかったのか疑問。本来の物語は、他のシェイクスピアの悲劇と喜劇を混在または融合したようなもののように思うが、「テンペスト」のパロディといった感に止まったのが残念だ。

    ラスト、先に記した2重構造で言えば、悲劇-復讐と捉えれば死が待ち、喜劇-回帰と捉えれば全てを許すという分かれ途。どちらの世界もあり得るから、それは観ている人の判断、好みに委ねられるというもの。自分ではさらに違った思いとして、もう少し遊び心を抑えた公演が好ましいが…。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/02/20 19:14

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