テンペスト 公演情報 劇団つばめ組「テンペスト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     この換骨奪胎ぶりをどうみるかで評価が大きく分かれよう。(花4つ☆追記2018.2.24)

    ネタバレBOX

     開演前の前説が結構変わっている。翻訳物の難しさ、即ち各言語の単語レベルに於けるコノタシオンについての説明があるのが面白い。コノタシオンとは、単語が内包する意味内容のことである。同じ単語がいくつも意味を持つ場合、この各々の意味の総てがコノタシオンの内容であるということだ。今作のタイトルで言えば“テンペスト”という単語は嵐と訳されることもあれば、大騒ぎ、バカ騒ぎと訳されることも在る訳だが、日本語では一語でテンペストの持つ内包を表す単語が存在しない。そこに翻訳の難しさが存在し、原文の持つニュアンス総てを翻訳し切ることはできないというのは、このようなことである。このようなことを、前説仕立てで説明すると共に、原作の換骨奪胎を宣言してもいる訳である。
     実際に演じられた内容を観ても、この解釈は変わらない。
     原作の内容については、述べない。そも演劇に興味を持つ者にとってシェイクスピアは、小田島さんの全訳を含め、少なくとも翻訳では全巻読んでいて当たり前だから、粗筋などは述べない。
     ナポリ王、ベニス大公の因縁にプロスペローとエアリアス、王子と大公の姫との恋等々を交えつつ政治の持つ本質的瑕疵としての裏切りや権謀術数、権力争いの趨勢などと共に、それらが収束する形として相互認知と信頼・融和が対置されていることにも注意したい。これは、単に観客に対して作家が作劇術として選んだハッピーエンドというより、このような方法でしか人間社会の健全は保てないという原作者・シェイクスピアからのメッセージかも知れない。

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    2018/02/18 13:33

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  •  少し追記しました。

    2018/02/26 00:13

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