郷愁の丘ロマントピア 公演情報 ホエイ「郷愁の丘ロマントピア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    105分。AT30分くらい。

    ネタバレBOX

    茂治(山田百次)…元炭鉱夫。大夕張が好き。謙三らのアニキ分。心臓の持病あり。展望駐車場で死亡。
    謙三(松本亮)…元炭鉱夫。顔に似合わずロマンチスト。セツに片思いしてた。
    三郎(河村竜也)…元炭鉱夫。事故で左腕を失い写真屋へ転向した。
    紀男(武谷公雄)…元炭鉱夫。セツと結婚した。炭鉱閉鎖時、セツの治療費等に困っていたが茂治から大金をもらった。
    セツ(長野海)…紀男の妻。紀男が事故現場へ行っている際に、炭鉱の危険をかみしめていた。
    忠(斎藤祐一)…祖父が大夕張に住んでいた関係でツーリングに来た。今は札幌で飲食店店長をしている。
    菊子(石川彰子)…忠の妻。茂治らの言葉に傷つき怒った。

    炭鉱で栄えた夕張の中でも東側の「大夕張」は、三菱系企業が三菱大夕張炭鉱を開き、町として発展した。が、高度経済成長が進み、国もエネルギー転換を図り石炭の需要が減り、三菱も手を引き始め町は衰退していく。そんな中で三菱南大夕張炭鉱でガス爆発事故が発生し、衰退はさらに進み、地域はダムの底に沈むこととなった…。
    そんなさびれた地域の高台にある大夕張メモリアル展望台に集まった元炭鉱夫の茂治だったが、茂治は持病で死亡してしまい、謙三らは茂治の死体を大夕張にあるシューパロ湖(今はダム?)に沈めようとするが…。

    じじいらのキャラや会話の面白さと、大夕張の衰退や消失といった寂しさが、波状的に重なって迫ってくる舞台。昭和の過渡期にあった一地域の変動を、社会的・個人的な視点で描き出す良作。

    炭鉱閉鎖が決定し、(三菱の建てた)神社も更地になったというエピソードとか象徴的だなと思う。もともと人が住んでいなかったであろう地区に炭田が見つかり、人や資本が流入し町となり神社も建てられたという流れがあり、炭鉱が用無しとなった以上、神社すら不要というのは自然なサマであるが、人の情が一度存
    在してしまうと、ここにドラマが生まれることとなる。言い方は悪いけどやっかいだなと思う。
    ATでゲスト(てがみ座の主宰)が話していた、宮崎のとある村は地域社会を維持できず、集団で移転することとなり、その移転助成をもらうためには自己の家屋を自己で壊さなくてはならないらしい。
    日本の衰退(人口減少や高齢化など)の象徴の一つに地方の衰退もあるだろうけど、色々新しいモノが蠢く東京にいるとそこらへん鈍感になっているなと思う。

    なんにせよ良い舞台だった。ラストの、大夕張を愛してる茂治の死体を湖に遺棄しようと話する面々に対して、それでいいと思うと純粋に思わせるチカラがあった。

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    2018/01/14 23:24

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