遠き山に陽は墜ちて 公演情報 劇団肋骨蜜柑同好会「遠き山に陽は墜ちて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    開演してまもなく、姉の述懐で過去のシーンへと遡る。弟がいなくなる一年前のことだという。

    姉は、オレンジ色の髪の少年とも少女ともつかない奇妙な生き物と公園で出会う。正確に言えば、職務質問されていた「それ」を助ける形でともに団地に連れ帰ることになる。

    姉と弟の暮らしに突然加わった「それ」は、ある日花屋で薔薇を見かけて言葉を話し始める。

    続く赤いワンピースの女性と「それ」の2度目の会話。(『星の王子さま』じゃないか!)とそこでようやく気がつく。

    それまでにもいくつかのキーワードがあったのに、と前の場面が脳裏をよぎる。ついたて、毛布、水。

    でも、『星の王子さま』だけじゃない。

    ロズウェル事件(墜落した未確認飛行物体をアメリカ陸軍が回収したと言われる)との関連を思わせるプレートを身につけていた。

    それから『ジギー・スターダスト』、あるいは『地球に落ちてきた男』、そしてロックンロール。昨年亡くなったスーパースターだ。

    オレンジ色の髪の「それ」は、さまざまな寓意を抱えつつ、寂しげな声で話しかける。

    哀しいくらい綺麗な夕焼け。むかし愛した一輪の薔薇。故郷を離れて出逢う人々。登場人物はみなどこか歪んでいて、この地上では生き難そうに見える。

    モチーフとなっている童話より少し可笑しくて少し痛々しいのは、大人になってしまったからだろうか。

    夕焼けに染められた屋上に太陽風が吹く。低緯度オーロラが空を染める。遠い星へ帰っていったロジー。姉弟のうちの弟も一緒に行ってしまった。

    『星の王子さま』のラストと同様、それは死であり帰郷であった。

    降りそそぐ薔薇の花びら。客席まで染め上げる紅い光。ロジーの髪は王子と同じ小麦に似た黄金色かと思っていたけれどそうじゃない。オレンジだと再三言われてたじゃないか。それは夕陽の色で、薔薇の色だった。

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    2017/12/30 14:43

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