『青いポスト』/『崩れる』 公演情報 アマヤドリ「『青いポスト』/『崩れる』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    始まりと、終わりにヤヨイが語りかける。没入するタイミングをある種、持たせない独特の入り方はアマヤドリらしいのか。私の住んでる街と違わない(ハズ)のもう一つの(カワッタ)街の物語を、今日、観た。それが「青いポスト」。その街では、国民投票で年一回、悪いヒトが決まる。「選ぶ」側と「選ばれる」側。民主的だ。多数決で「消える」人を選ぶのだから。民主的?本当に??その国のルールだから、OKなの?うまれた時からだとそこに疑問を持たない。ヒトはその集団の中で、点と点同士の関わり合いで異なる集団では違った「自分」がいる事が観て感じた。「家族」の中で、「友人」の中で、「仕事」の中で、どう立ち振る舞う事が正解か答えは様々な気もするが、自分はどうだろうかと思う双子の逃げちゃったお母さん(実際は出てこない)、双子の叔母(一川幸恵さん)が自分的に凄く気持ちが寄る役どころだった。お母さんの言葉が、今の日本の母親たちに凄くかせられてるというか、そういった「目」で見られてるし、その圧に耐えられない人もいるって、物凄く分かる。だからといって、お母さんの行動を肯定する訳では無いけど、あの「国」だったら逃げたくなるのかな。叔母は逃げず、二人を育てたというある種対極なんだけど、でも、彼女の本当の気持ち叔母の気持ちはどーなんだろうかな?と思った。縮図ぽいといったら確かにそうかもしれないけど、意識してないけど、やっぱり、自分も良く思われたいから、そうふるまってしまうし、そうでないヒトを排除しようと思うのかもしれないな。
    「悪い」ってそもそも、何だろう?
    劇中に殺人以外・・・みたいな台詞もあったが、「悪い」ってそれぞれ個人の捉え方で「善意」が「悪意」ってオセロみたいにひっくり返るものかなと。姉の「善意」は妹にとって「悪意」、「悪」と「善」は紙一重。あっという間に色すら変わる

    毎回思うのだが、本当にアマヤドリの衣装、素敵なのです。色のバランス感覚って本当に重要だと。あと、やはり、陰影の美しさ。壁に映る客席からは見えない影での表情みたいなものも感じる。そして、群舞からの頬に受ける、風。好き。



    「崩れる」中盤から胃がキリキリというか、自分に過去に湧き上がった「怒り」の感覚が浮かんできて、苦しくなる。「許す」ってなんだろうかとも、思いながら、俯瞰でみるとしたら「許せる」事も同じラインに立った時点で「許せない」ものかと。
    昨日観た「青いポスト」、そして本日の「崩れる」広田さんの新作はある種「アマヤドリ」が苦手だと思ってる方も一回是非、観て貰いたいと思った。特に針谷役石本政晶さんが、私が今まで拝見した中でダントツに良かった。そして、あの役、しんどいけど、石本さんがやる事によっての怖さというか、ぞくぞくするなんというか、刺さってくる感情の伝わり方が凄かった。江田役の倉田大輔さんが劇中の台詞をお借りするならば「人格が凄い(ある意味)」。物凄く、倉田さんならではの江田という役があの場所に存在する不快感や、でも、そういった人は現実には必ず存在して、あんな生き方で上手く生きていけるんだろうなと。園田役の宮崎雄真さんが発する台詞にキリキリした私の胃が緩和される。あの宿に集うヒトはもしかするもしかすると、意図しないけど、引き寄せられて糸にくるまれ、逃げ場所としてあそこに来てしまうのかもしれない。雨が降る。吐き出した怒りと、罠と、どうにもできない感情と。最後、雨の中。雨の中・・・。

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    2017/12/01 23:58

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