THE LAST ALIEN 公演情報 劇団カンタービレ「THE LAST ALIEN」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    この公演は、スーパーマーケット「スリーエー(AAA)」の経営とそこで働く人々の悲喜劇を、タイトル「THE LAST ALIEN」との交わりを通して描いた物語。そして現代の日本、それも現政権を揶揄するようなシーンも...。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、スーパーの事務室・小池宅・喫茶店の各内部と下手側に別空間(路上イメージ)を、状況に応じて暗転で場面転換する。自分では、その回数が多く集中力を保つのが大変だったのが残念。

    スーパー「スリーエー」は、安心・安価・愛情の3Aを標榜した経営を行っているが、近所に大型スーパーが開店し苦戦している。そんな状況下にありながら、従業員(パート)は開店時間間際まで無駄話を続け、また遅刻してくる者までいる。またヤル気があるのかないのか覇気が感じられない中年男・小池信一(ひたたらサン)。極めつけは店長が女性従業員と不倫しているという体たらく。
    さて、小池は妻に家出され娘にも愛想を尽かされている。あげく、父親が働いているスーパーで万引きをして警備員に捕まる。それでも娘を叱れず問題をうやむやにしようとする。そんな男に地球にいるエイリアン(野本由布子サン:被りもの姿が愛らしい)が接触してくる。その目的は...。

    エイリアンが某所に電話しているが・・・「アベちゃん、先の選挙で大勝したのは」とか「トルーマン、あ!もう死んでいるか、70年前の人」という台詞から安倍首相、トルーマン米大統領を連想するのは容易い。この場面を挿入してくるのは、恣意的いや思惟的なことだろうか。物語は資本主義的な観点からすれば価格の”競”争であるが、電話の相手からは”戦”争のニオイがする。何せ、原爆投下や朝鮮戦争に関係した人物なのだから。先に記した目的とは、エイリアンの話からすると、”人格改造計画”なるプロジェクトがあるような。そんな不気味な様相が垣間見える。

    業績不振(大型スーパーの影響)で1カ月後に閉店だ、オーナー(義父)から最後を告げられた店長は、従業員全員を集め起死回生のアイデアを募る。一方、小池は娘との関係修復に苦慮するが...。物語は「小池さんの黄昏メンチカツ」という惣菜が人気を呼び、また娘と和解するというハッピーエンド。

    人格改造なる動きは、洗脳という危惧を抱いてしまう。自分自身で考え行動するというのは、人の根幹に関わること。自分の意思が社会風潮に抗い切れなくなった苦い経験があったと思うが...わずか70年余で風化させてはならないことは歴史で学んだこと。

    この公演、表層的には喜劇仕立てであるが、エーリアン(狭くは「移民問題」も含むか?)という地球人以外の第三者的立場(姿)の目を通して見た怖い話に思える。地球人からすれば宇宙人=エーリアン、逆に宇宙人からすれば地球人はすべてエーリアンという台詞はエッジが効いている。ここでも意見・見解の相違は重要であると思わせる。悲劇が浮き上がる様な、この感覚は自分の深読みであろうか?

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/11/14 18:25

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