君の名前を藍色の空に呟いた。【ご来場ありがとうございました!】 公演情報 劇団えのぐ「君の名前を藍色の空に呟いた。【ご来場ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    大きな事件が起きるわけではない。誰もが過ごしたであろう日常(夏・夏~)が淡々と描かれる。その等身大の青春が観ている者の気持にフィットする。人の気持、特に好きになることとは…少しネタばれになるが、好きになることに理由が必要なの、とは劇中の台詞である。この劇団(作・演出は佐伯さやか女史)らしい、ちょっぴり切なく、しかし底流には人間讃歌が見える珠玉作。
    (上演時間1時間40分) 2017.9.16追記

    ネタバレBOX

    会場に入ると、そこは「ふじい食堂」の店内と店前の敷地、道といったところ。上手側に厨房、下手側が店出入り口。店内の正面壁にはメニューの貼紙、テーブル席、扇風機。屋外には祭り提灯、ビールケース、虫取り網、朝顔など、夏を思わせる小道具が置かれている。

    物語は、主人公とその友人達の中学3年から26歳位までを中心とした約10年間に亘る青春物語。男女各3人の中学生、主人公の妹とその友人達(男女各2人)が織り成す甘酸っぱくも切ない恋愛話。近く(隣り)にいるのが当たり前と思っていた人がどこかへ行ってしまう。離れて初めて知るその人への思い。ドラマチックな熱愛と違い、もどかしい気持の表現が上手い。

    話は”何か大きな事件”を見せ場とする訳ではなく、その辺に居そうな若者、その等身大の人物が過去の自分の気持と共鳴するようで、素直(うまく)相手に気持を伝えられない不器用さが愛しくなる。事が起きたのは、守ってあげたい人が、その夫に家庭内DVを受けていること。助けを求める彼女の元へ、同じ時、自分の恋人との待ち合わせをしていたが…。恋人よりも助けを求めた彼女を優先したことで恋人との関係がギクシャクし出す。特別なシチュエーションではなく、同じような出来事がありそうだ。その日常性の中に、人の感情の機微をサラッと描く上手さ。

    登場人物の性格や関係性は、妹の夏休みの宿題作文を引用して、効率よく紹介していく。早い段階での紹介であり、物語の状況認識に大いに役立つ。学生時代からの友情は社会人になっても続いているが、それは”地方”という土地柄のせいであろうか。その地方の風物詩、花火を表す照明と音響が物悲しく思えてしまう。大輪の花火のような派手さはないが、いつまでも余韻に浸れる線香花火のような…。本公演のイメージは、そんな印象に残る作品であった。
    君の名前を”愛”色の空に呟くことになるのだろうか。ラストシーンは随分前に思い描いていたと…。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/09/10 10:51

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