満足度★★★
作者の吉田大八がシアターガイドで言っているように「こんな面白い話をどうして誰もやらないんだ!」と言う実話。外人パイロットをよそおった稀代の結婚詐欺師の話である。誰もが「嘘だろう!」というはなしにコロコロと女は騙される。だが、現実離れしたシュールな実話に落とし穴がある。やってみると、作者や宮沢りえ、川面千晶の大奮闘にもかかわらず、少しは笑えるが、本質的にホラの面白さがない。最後に国旗が出てきてはなににかいわんや、である。作者も書き始めて少し焦ったんじゃないかな。後半ことに乱れた。しかし、前の本谷有紀子の「ぬるい毒」は悪くなかった。今回は焦ってひねりすぎたか、肝心の曲球のセリフが耳に届かない