疚しい理由 公演情報 feblaboプロデュース「疚しい理由」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    一場面、3人による濃密なサスペンス・ミステリー劇。チラシには「2006年に劇団『ブラジル』で上演された傑作中編サスペンスを再演」とある。終演後、演出の池田智哉氏に聞いたところ、時代背景や技術(小道具)の変更も行わなかったと言う。時代の変化に左右されない”人間の暗部”を抉り出すような。その疚しい姿が実にリアルに描かれる。
    (上演時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、シンプルであるが物語の展開、その場の空気を表現するような妖しい雰囲気を漂わす。暗幕で囲い、客席に対し斜めに渡した赤い通路。真ん中に部屋(ダイニングのイメージ)があり、テーブル・イスが置かれている。背面は、数本の細い支柱に赤い紐が蜘蛛の糸のように張り巡らされている。何かに絡め取られそうな感じ。

    梗概…サスペンス・ミステリーの類であるから、書けばネタバレになる。タイトル「疚しい理由」、その説明に騙すか騙されるかとあるので、端緒だけ記すと”保険の加入”…それをめぐって虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。筋立(脚本)は、身近でリアリティがあるため、物語の世界に引き込まれ次の展開が気になる。状況が一転二転し、ラストまで目が離せない極上のサスペンスドラマ。

    約10年前に上演されたが、その時代背景、状況設定は色褪せることなく、心に蠢く疚しい感情が浮き立ってくる。騙す騙されるという心の綾のようなものが、赤紐の蜘蛛の巣で表現されているよう。この3人の(歪な)関係、誰が誰を誣いて陥れるのか。観客(自分)は、固唾を呑んで成り行きを見守っている覗き見者のような気分になる。

    役者は関係性を見事に体現しており、緊密・迫力ある演技であった。穏やかな雰囲気から段々と不穏な空気が流れ出し…。ラストの依頼とその裏に隠された事情が透けてくると、もはや疚しい以上の疾(やま)しいかも。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2017/05/16 20:23

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