こしらえる 公演情報 こまばアゴラ演劇学校“無隣館”「こしらえる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ■約90分
    次々出てくるぶっコワれた人たちがなぜだかリアルに、そしてまた愛おしく思えてくる、出色の人間ドラマでした。

    ネタバレBOX

    描かれるのは、とあるフランス料理店のスタッフたち、そしてその周囲の人々の人間模様。
    飲兵衛の腕利きパティシエが酔いどれて行き倒れそのまんまホームレスになっちゃったり、心に空洞を抱える主婦が夫の浮気相手を呼びつけて失踪した猫の代わりを務めるよう懇願したり、その浮気相手が申し出を快諾(笑)したり、ありえない行動に出る人たちが本作では相次ぐが、常識や世間体という枷さえなければそんな奇行に及んでも仕方がないほど人間誰しもしんどくて、松村翔子という人はいわゆるリアリズムを捨て、人間の精神の現実を描くまたべつの写実主義でもって“人間の本当”を描いたのだと本作を観て私は感じた。すなわち、彼らの奇行は彼らの内的現実を形象化したものであり、本作の作・演出家はそれを写実したわけだ。
    しかも、彼ら困ったちゃんたちに対する周囲の人々の対応がなんだか優しい。そこに松村さんの人柄がしのばれて、温かい気持ちになりました。

    そして最後に、無隣館若手自主企画の常打ち小屋・アトリエ春風舎でなく、STスポットで上演したのは正解! 春風舎でやっても多分、“瀟洒なフレンチレストラン”感は出せなかった。

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    2017/02/25 23:55

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