満足度★★★★
鑑賞日2016/07/17 (日)
会場を揺らす生演奏とたっぷりの殺陣で始まった物語は、音楽と笑いを散りばめた、劇団☆新感線風の時代劇……と最初のうちは思った。
しかし観ているうちに、自分の居場所や夢を追う若者の姿にウエイトが移っていく。夢を抱いて故郷を離れる数人の若者たち。戦争孤児や捨て子、肩を寄せ合うように過ごしてきたはずなのに。それぞれの運命が彼らの立場を玩ぶように動かしていく。
愛しい、大切な仲間たち。彼らが本当に求めていたものは、サムライの身分や地位ではなく、誰かにそばにいてもらうことだったのではないか。
足軽のブラス隊が奏でる旋律が、胸にしみる。
生きてくってことは、なんて寂しくてせつないことなんだろう……。そんな感傷に浸りつつ劇場を後にした。