① 轟音、つぶやくよう うたう、うたう彼女は:感想】大掛かりな舞台装置を活かした重層的な演出。役者が行き来することで空間と時間の奥行きを感じさせる。光陰矢の如しを地でいく展開のテンポはコミカルでもあり、翻弄される姿は切なくもある。コントラストが非常に効果的でした。 親子二代で畳み掛けるように繰り返された変わり映えせぬ人生は、様々な鬱屈と焦燥を諦観を強調する。「頭に纏わりつく職場の人間関係」の表現は特に秀逸。そして、若い頃に自ら否定した生き様に自分が呑み込まれていく娘の姿は、多くの人々が現実に打ち砕かれる様を象徴的に描いていて強烈だけど、命辛々救われたはずの痴呆の母のセリフが娘を救います。じわぁ~と沁みたなぁ。幸せは遠くにあるのではなく、懸命に生きる、今、この日常にあるのですね・・・ そんな重い展開を微笑ましく呑み込めるのは、各所の笑いの演出あったればこそ。進撃の巨大赤子・山形が今回のツボでした。感動を活かすのは笑いなんじゃないかな・・・と、空宙空地を観てるといつも思うのでした。