我が名を呼べ!我が名は天子シロマである!〜ご来場ありがとうございました!〜 公演情報 〒機巧ぽすと〒 (からくりぽすと)「我が名を呼べ!我が名は天子シロマである!〜ご来場ありがとうございました!〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    史実的な空想劇
    歴史劇のようなシーンもあるが、あくまで想像劇である...史実があるから幻想・架空があるという謎めいた口上に続いて物語が始まる(口上を述べる人だけが、劇中も含め現代の服装。冒険家・時空間の旅人といった役割か)。壮大感はあるが分かり難いところもあり、筋を追うだけに陥りそうである。

    鎖国、不平等条約などの台詞から舞台背景は幕末をイメージする。しかし、当日パンフの年表によれば、日本と思われる国は西暦200年代であり、一方外国(外圧)勢力は1000年代~1400年代と時間軸が長い。あくまでこの隔たりの大きな設定に拘ると物語が錯綜してしまう。舞台美術、衣装、小物にいたるまで、時代にそぐわないものばかり登場するのだから...。

    この公演は、先に記した幕末の様相が色濃い。そうであれば、2つの点で興味深い。その1は、日本の黎明期の血なまぐさい史実を戯画化し、卑俗でわい雑な覇権争いの劇として舞台化したこと。観せ方として劇場の上空間の大きさを利用した俯瞰...その2は、どちらの勢力も民衆のためという外面正義を振りかざし、その実は己のことばかり。その支配に潜む不条理劇が観て取れる。

    それだけに、観客が物語の筋に終始するだけではなく、その展開とともに共振できるような公演であれば...その意味で勿体無いような気がした。

    上演時間2時間10分(途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、中央に白布で囲った円柱(冒頭のみ設置)、上手は不揃いな階段、下手は櫓上をイメージするような棚台。上部に伸びる階段は天子を戴くようでもある。
    たびたび登場する玉座。権力の象徴として登場させているのであろうが、反乱艦隊提督サシウスが玉座に座わるシーンは、”民衆のため”という言葉が空しく響く。

    当日パンフのざっくりとした説明では、シノメイ国という地が舞台。そこに北方軍、その闇(暗殺)組織として天馬団がいる。一方反乱艦隊が対峙する。その反乱軍を支援するロマ帝国・極東方面軍が開国を求めている。
    どうしても史実と置き換えてしまう。日本・幕末...幕府軍、新撰組と倒幕軍、列強諸国という構図である。しかし、シノメイ国の天子(別に天馬軍の女シロマが影となっている)と殿下(大老の子)が夫婦関係にある。「殿下」「大老」は発音から表記したが、別の意かもしれない。単純に天子(皇室)と将軍家ではなく、その臣下の子が婚姻していることに混乱(自分の推測)。そもそもが架空という前提であるが、史実のようなシーンがあると錯綜してしまうのが情けない。

    そして、反乱軍勝利に至り天子(実はシロマが身代わり)の処刑をすることで、民衆の新しい時代への幕開けを宣言しようとしたが...。その光景を見る反乱軍提督とロマ帝国提督と監査役は上部へ鎮座した玉座に座る。一方処刑されるシロマとその処刑人となったシロマの恋人は階下にいる。

    この舞台美術には、前方奥上への階段、その視点が舞台にいる彼らを時に正面から時に背後から捉え、その心情を映し出すようだ。この上・下という対極した空間演出は巧み。

    演技は、殺陣というアクションはもちろん、心情描写も上手い。総じて若い役者のようであるがバランスもよく、登場人物のキャラクター・役割をしっかり演じていた。また音響では時を刻む音、照明はスポットなど舞台技術も効果的であった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2016/06/05 00:18

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