匂衣(におい) ~The blind and the dog~〈当日券あり!〉 公演情報 劇団印象-indian elephant-「匂衣(におい) ~The blind and the dog~〈当日券あり!〉」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    演劇好きに受ける作品

     初演は2010年4月。韓国の役者とのコラボレーションであったという。演出家が、随分悩んだ時期の作品だ。今回は、タイの役者とのコラボレーションである。日韓の差異以上に大きな差異を持つ日タイとのコラボは、果たしてどんなテイストを産み、どんな間と、表現を我々に観せてくれるか。その快い緊張も楽しめる。日本語に習熟しているハズの日本の役者だけでやっても無論、役者の身体や個性で様々なテイストが生まれる。それが、生き物としての芝居である。日によっても、回によっても、無論同じ物は二度とない。当たり前すぎる程当たり前のことなのだが、そのような微妙なテイストをキチンと、演出家が個々の役者から引き出し、役者は、己の役を、物語が要請する必然的な形をキチンと押さえたうえで過不足なく表出している。主演の彩香役、山村 茉梨乃 ホム役のナルモン・タマプルックサー、光一郎役の鈴木 穣らの演技が、より強い感情を観客に惹き起こせるように、母役の橘 麦、万丈役の泉 正太郎、厳島とパーカッション担当の広田 豹が、適確な表現に徹している点も見逃せない。

    ネタバレBOX

     
     殊に、嘘と真と矛盾のバランス、全盲の少女の鋭敏な感覚と明晰な頭脳が、ほんのちょっとした、齟齬から、真実を暴いてゆく過程の緊張感や、嘘を見抜いた後、事実を受け入れ、精神的な成長を遂げてゆく彩香の姿と、幼い自分と愛犬、ヨソベエへの訣別を表し、次へのステップを踏み出す象徴ともなるダンス表現は圧巻である。
    更に、終章、光一郎とホムの別れの場面、10数える場面で1,2,3,4~と日本語で数えて来たホムが、7からは、母語のタイ語で数を数えてゆくシーンも粋で、彼女の哀しみを澄みきった海水の哀しみのように深く苦い着地点に導く。この別れを告げた、男の狡さ、優しさを表現した鈴木 穣の役作りも素晴らしい。
     作品の内容は、とても微妙で、センシティブなものだし、上演中なので、内容については、これ以上触れない。

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    2014/10/24 10:35

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