毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」 公演情報 鵺的(ぬえてき)「毒婦二景「定や、定」「昭和十一年五月十八日の犯罪」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ふたりの定
    大好きな女優さんお二人が定を演じるということで楽しみに楽しみにしていた当公演、マチソワで観劇しました。どちらも鵺的の公演としては以前観た「荒野1/7」「クイアK」とは大きく毛色が違って。高木さんの脚本が役者さんに肉付けでこんなにも人間的な舞台に見えたこと(しかも笑いの多かった)がとても嬉しくてゾクゾクしました。あがささんとハマカワさん、舞台の上のお二人に生きる力と幸せをいっぱいいただきました。良い舞台でした。

    ネタバレBOX

    以下、ツイートのコピペです。

    『定や、定』

    鵺的でこんなに役者力がクローズアップされて見えたのは初めてで、かつ笑える鵺的も初めて。二人の力のある役者さんのおかげで濃密かつ贅沢な時間が過ごせた。定の愛、宇野の愛。思いを馳せると羨ましくさえ思う。自分はあんな風に生きられないからこそ。

    で、今までに私が観たあがささんでは最高に痺れた。10代の不良少女時代から、自分の愛した男の名誉のために阿部定に戻る中年時代までを髪型も化粧も変えずに素晴らしい演技で魅せてくれた。舞台の上の彼女や彼女の表現から目が離せなかった。そりゃ、宇野も寺十吾さんも惚れるって。


    『昭和十一年五月十八日の犯罪』

    こちらも笑いが多く、その中から抉り出される定像に目を見張る。懐に切り取った一物を忍ばせた定を演じるハマカワさんの凛とした演技は絶対的正義とさえ感じ、細やかに心情を映す表情から目が離せない。クライマックスからの美しさは壮絶。

    定が捜査官達を翻弄したように、ハマカワさんも男優さん達を翻弄している。あれだけ力のある男優さん達に一人で張れる女優さんはなかなかいないんじゃないだろうか。あんなに華奢で小柄なのに、並々ならぬ生命力。

    まず、声が違う。彼女のあんな声を初めて聞いた。凛としたあの声と物腰だけで、定がいかに一貫した正義の持ち主であるかを知らしめる。会話劇の中、受けの演技からも全く目が離せず、表情から見える定の心情から彼女のこれまでの生までもが見える。

    彼女の価値観での「独占欲」を満たして至福の状態からの、椎茸のくだりで心が動く頃から益々目が離せない。体を張った攻防。鋭い眼光、命懸けで発する声。そして着物を着る流れでの心情の変化は空間の温度さえ変える。素晴らしかった。

    『毒婦二景』まとめ

    A,Bどちらも笑いが多く、しかしそこから確実に「真実」が抉り出される。どこからがフィクションかは分からないけれど、もし定さんが観たらきっと喜ぶだろうなと思えた愛の物語だった。不思議と異常性は感じない。自分には持ち得ない愛の形は羨ましいとさえ思う。

    定を演じたお二人、あがささんとハマカワさんの驚異的な役者力を目撃して欲しい。これだけ一人の役者さんの力量を堪能出来る舞台は一人芝居でもない限りなかなかない。こう言う言い方は普段しないけど言う。これは、「観ないと損」。もちろん定を取り巻く男優陣も最強。

    どちらにも出て来ない定の愛人・石田。定にあれだけ愛されたのだから幸せだったのだろうなと思う。それだけに、代弁された彼の言葉は殺人を綺麗事にしすぎていた私の脳に一石を投じてくれた。重い事件を描いていたけれど笑いも多く良いバランス。きっとそれは人生のバランスと同じ。

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    2014/07/19 20:10

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