満足度★★★★
陪審員制度の限界が見えて興味深い
電夏が得意とするロジックで展開するコメディ。
人は、所詮、自分の経験や主観で物事を見て考えるしかない、だからこそ陪審員たちが話し合うのだが、「十二人の怒れる男」とは逆に、ラストで陪審員制度の限界のようなものを感じてしまった。それは現在の裁判員制度への疑問にもつながる。
コメディとして楽しめるが、ブラックユーモアには偏らず、「ただただ笑っておしまい」にもならないところが電夏のコメディの優れた点である。
今回はあらすじを読んで期待が大きすぎたせいか、私の中では意外に平凡な印象に終わった。
話の構成上やむえないのかもしれないが、冒頭の沈黙時間が長く、そのあと一気に惹きこまれなかったのが残念。
上演時間も1時間45分くらいにして、テンポよくしたほうがよかったのでは。
※私自身かつて日本橋中州に住んでいたことがあるのだが、小伝馬町は神田には近いが日本橋である。
江戸時代の古地図でも小伝馬町は日本橋界隈である。
格別架空の町に設定したとは思えず、なまじ江戸時代の事件の疑似体験を織り込んだ劇だけに「神田小伝馬町」という呼称は気になった。