満足度★★★★
濃厚な時間を過ごす
舞台装置、音楽、照明、衣装、全てが、これまでの中で最上級に素晴らしかった。舞台と客席にあたりまえに存在する境界線を消し、観客を巻き込んでいき、作品世界にいざなっていく演出が面白い。演出家である吉野氏の描く世界の完成形を見た気がした。
演奏と楽曲が特に素晴らしい。レベルも高かったが、作品の世界を劇場空間いっぱいに満たして一体感を作りあげたのは、間違いなくバンドの力。音が空間を支配していた。
そして、開場した瞬間から最後の一人の客出しまで、役者は一瞬たりとも息を抜ける瞬間がない。ずっと張り詰めて、表現し続けなければ…というか、あの世界の一部でなければならない。すさまじい集中力を要求されるだろうし、自我を失いそうな気すらする。