春を忘るな ご来場ありがとうございました!!! 公演情報 ウンプテンプ・カンパニー「春を忘るな ご来場ありがとうございました!!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    【竹組】象徴主義的、あるいは夢幻能的
    前回の「ベルナルダ・アルバの家」が良かったので、今回は小さいバー兼劇場であるが、どのようなお芝居を演じてくれるのか、楽しみであった。

    舞台(と言っても客席と同じ高さだが)には、枯葉が敷き詰められていて、もうそれだけで独特の雰囲気。

    で、前衛ではなく、台詞の一言一言は意味があるものだが、
    その台詞自体はイマイチ噛み合わない。
    もちろん演技の巧拙の問題ではなく、そのように作られているのではある。
    つまり、具体的な出来事として筋が進んでいくわけではない。
    いわば「象徴主義」的ともいえる作風で、
    ちょっと言葉にし難いような超現実的な雰囲気を醸し出している。

    ただ、こういうような、雰囲気という柔らかいもののみで
    長く続いていくと、さすがに、硬い骨が欲しくなってくる。

    そこも計算に入れているように、雰囲気は変わる。
    (以下ネタバレです)

    ネタバレBOX

    裸になったりはしないのだが、かなりリアルな「濡れ場」が登場する。
    ちょっとびっくり。
    しかし、この交わった二人は、異母兄弟であったことが、
    女から告げられる。

    女にはだらしのなかった男であるが、しかし、兄妹相姦には深く罪の意識を感じる。
    結末は、ネタバレ扱いでも書かない方が良い気がするので触れないものの、
    これまでの超現実的というか、象徴主義的雰囲気も、
    得心がいくように出来ている。

    というわけで、劇の作りとしては、やや前半部が長過ぎるのかも
    しれないが、面白い趣向であったと私は思う。

    ところで、もしかしたら源氏物語の影響もうけているのかな?
    そんな気もした。
    というのは、光源氏も若い頃は、いわばガールハンターで、
    華やかな女性遍歴が長い物語の前半では繰り広げられるが、
    「若菜」刊で物語は暗転…そこからは逆に、
    自分の過去の罪~義母藤壺への思慕~を、認識させられることとなる…。
    そういう、華やかな女性遍歴の前半~近親相姦の罪…という構成に、
    共通項を感じた次第(そういう意図はなかったかもしれないが)。

    あるいは「夢幻能」的かもしれない。
    つまり、結局語っていたのはこの世のものでは無かった、
    と解釈可能なので。

    さて、残念なのは生演奏(凝っているが)の音楽である。
    もっとも、前半部初めメインはピアノソロであり、これは良かった。
    ところが、この公演は「竹組」と「梅組」という2組による
    ダブルキャストで、しかも、俳優として出演しない組が、
    生演奏に回るという。
    これも趣向としては面白いものなのだが、
    しかしながら、はっきり申せば、こちらは下手であった。
    元々が役者なので、打楽器等、高い演奏技術を要する楽器は
    担当しないのだが、それでも、「音に魂が籠っていない」のではなかったか。
    唯一、三味線の担当がいて、プログラムに挟み込んであった告知によると、
    交替制をやめて、いわば「三味線専任」となったそうで、それなりに期待もしたのだが、難しい楽器だけに、音を出すのが精いっぱいというところ。
    やはり、音楽は専門の演奏家に任せた方が良かったのではないだろうか?

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    2012/04/28 10:19

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