Tripod 公演情報 靖二(せいじ)「Tripod」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    丁寧に作られた会話劇
    とにかく丁寧に会話を中心に織り上げていく。
    会話劇を成立させるために、セットや衣装には細かく気を遣っていた。

    ネタバレBOX

    とにかく、驚くのは、衣装の早替え。
    かなりのテンポで時間やシーンが変わっていくにかかわらず、実に丁寧に衣装を替えて出てくるのだ。
    全部で何回着替えたの? と言うほど。

    それによって、観客は時間・シーンの違いを瞬時に理解し、物語に入り込みやすくなる。
    セットがマンションのDK部分の一室を、これまた丁寧に作り上げているのだから、衣装も同じように替えたということなのだろう。

    セットは簡素に衣装は同じまま、という舞台が多い中で(もちろん「意図」としてそうしているのは別だが)、これだけ細かいところにこだわったのは見事だ。

    1時間20分程度の作品なのだが、そういうきめ細やかさよって、全体がとてもいい時間に見えてくる。

    同棲・入籍した1組のカップルを中心とした、学生時代のサークル仲間との数年間の出来事を、時間列ではなく、意味列に並べ、ストーリーをわかりやすくし、観客の興味を先に持っていこうとした。

    そこでは会話が大切で、とてもいいグルーヴになりそうだった。
    「なりそうだった」というのは、全体のトーンの在り方、例えば台詞のトーンや人の存在のトーンがもうひとつ同じでなかったところがあったことによる。
    違和感、というほどではないのだが、喉に刺さった小骨のような、別トーンが見えてしまうのだ。

    例えば、「空気の読めない男」という存在は、確かに会話中の「違和感」として存在するのは正しいのだが、「同じトーン」の中にある「違和感」としてほしかったと思う。
    そんなに気にすることではないのかもしれないのだが、これだけ会話に集中できる要素が揃っていると、どうしても細かいところに目がいってしまうのだ。

    しかし、全般的には、会話の重ね方など、実にうまいと思った。
    自然風に見えてくる。特に前半、引き込まれていったのは、そうした会話の巧みさによるものだった。
    特に、「いいことを言ってまとめよう」とするときには、意外と当たり前の言葉しか出てこない、なんていう感じはいいなと思った。

    役者では、妻の夏帆役の柴田さやかさんが、前に出るというわけではないのに、全体を包み込み、物語を牽引しているようで、特に印象に残った。

    ストーリー自体は、挫折・きっかけ・再チャレンジ、というような若者の成長を描いた王道路線ではあるが、いろんな台詞とか想いとか、散りばめたものがきれいにはまっていく様は、嫌みなく、見事だった。

    ただ、「本当にやりたいことをやっていく」ということへの「辛さ」とか、「それでも自分の道を進んでいく」ことに対する「原動力」とか、そんな「何か」が必要だったのではないだろうか。
    戦場カメラマンという特殊な設定であるだけに、そこはどうしてもほしかったと思う。
    つまり、そういうことが、きれいごとだけでは済まないことはわかっているはずだからだ。
    例えば、この舞台を上演している役者やスタッフたちにとっての「演劇」が、主人公の「戦場カメラマン」ではあったと思う。

    ならば、自分たちが「演劇」を続けていくこととダブらせて考えてみた上で、主人公の行動を考えてみてもよかったのではないかと思うのだ(余計な意見かもしれないが)。
    つまり、「自分たちの視点」も必要ではないか、ということだ。
    それはもちろん簡単ではない。「希望」とか「願望」とかを盛り込んだ「ファンタジー」であるのならば、そうした方向でもよかったと思う。

    それと、ユーモアがもう少しほしかった。笑いがちょっと起こるような作品であったのならば、もっと身近に感じたのではないだろうか。

    …この家では、MXテレビを見ているのかと思った。マツコデラックスの声が客入れから響いていて。

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    2012/02/13 08:02

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