かもめ 公演情報 第七劇場「かもめ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    洗練
    『かもめ』以外のチェーホフ作品も取り込んでスタイリッシュに再構成した作品でした。想像していたよりかは物語に沿った構成でしたが、戯曲あるいはオーソドックスな演出での上演を知っていなければ分かりにくい構成・演出だったと思います。

    白いリノリウムの床、大きなテーブルの上に吊り下げられたカモメ、十数脚の椅子、そして下手手前にブランコが設置されたシンプルで美しい舞台を開演前から役者達が舞台上に出ていて、動き回ったり数字を読みあげたり(終幕のロトゲームのシーンからの引用)していて、客電が落ちてからの台詞のやりとりは『6号室』のもので、狂っているのは誰かというテーマが『かもめ』の世界に付加されていて効果的でした。
    70分程度の上演時間の中に、コースチャの創作劇のシーン、トリゴーリンの出発前のニーナとの会話のシーンなど有名な場面はしっかり押さえてありました。
    最後のコースチャの自殺の場面はピストルを持ってはいるものの、動きや音で撃った表現をしていなくて分かりにくく感じました。
    会話の流れとは無関係に繰り返される暴力的な動きが不思議な感じを生みだしていました。皆が裸足の中、医師ドールン1人だけが靴を履いていたのが、色々な解釈を出来そうな興味深い演出でした。

    アルカージナを演じた木母千尋さんの女優っぷりが堂に入っていて良かったです。対照的にニーナは低い声で抑揚を付けずに話していたのが印象的でした。

    最初と最後近くの音楽にストラヴィンスキーの『春の祭典』が使われていて、春が来る前の荒涼としたロシアをイメージさせ、生贄=かもめ=ニーナを連想させる、面白い選曲でした。開演してからの1曲目、2曲目がストラヴィンスキーの曲だったので、どうせならチェーホフとロシア繋がりということで全曲ストラヴィンスキーにしても面白かったと思います。

    トラムで2000円(初めてこの劇団を観る人は1000円)という破格の値段設定や、終演後に食べ物と飲み物が出されて劇団と客がコミュニーケションを取る場を設けたりする活動に、演劇をもっとオープンなものにしたいという姿勢を強く感じられました。

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    2011/09/12 00:07

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