unicornの観てきた!クチコミ一覧

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わたしのゆめ

わたしのゆめ

ガラス玉遊戯

「劇」小劇場(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

控え目だけど緊張感のある良舞台
こういった議論が中心の舞台は得てして地味で退屈になりがちかと思う(実際そういう舞台は何個か観た)けども、本作品は90分背中を熱くしながら観られた。

登場人物は、典型的な保護者だったり、ことなかれ的教員とか、頭の固めな教頭、気まじめな若手教師、地味な親などなどいかにもな感じ。そのためか安定していたと思う(平坦な舞台ともいえるが)。でも、演技はそれぞれ◎。良い緊張感が満ちていて非常に満足。

ネタバレBOX

1つダメ出しすれば、パンフの役者コメント。手書きのものは非常に読みにくい。文字がつぶれていたりして。パソコンで打ちなおしてくれたほうがありがたい。意図は理解できるけど。

あと、チラシデザインも◎。
Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

Caesiumberry Jam
面白くもあり上手くもある舞台。
1986年の大事故後、30km離れた農村に生きる人々の生き様を、薄暗く映し出す快作だった。

開演前の舞台は一面敷き詰められた土と1台のテーブルというの質素なつくりで、観劇後は小道具が散乱し、荒れ果てて誰もいなくなった寂寥感が充満していた。

タイトルの「Caesiumberry Jam」。なんとなく惹きつけられる響きだった。

ネタバレBOX

大事故後のナジロチ村を取材したカメラマンと、民生委員が2006年の東京から写真を通して過去を掘り返す。そこには、大事故で深い傷をおった(負いつつある)明るい村民の姿があった‥。
この過去への遡りが、1991、1993、…というように間をあけて行われる手法でとても上手いと感じた。その間の描写をなくすことで時間の経過をしっかりと表現し、村から人がいなくなる場面を際立たせている。

序盤から明るくpopな空気でもあるが、その後ろにある凄惨な事実がいつ顔を出してくるのか、恐る恐る観ていた。終盤のリューダ(と夫)のくだりとか、一番恐ろしかった。

演技はみな上手いと思うが、クリニカ役の中村梨那の子供演技が特に素晴らしかった。あと、ナターシャの石丸さち子。いや、みんな上手いんだけど。
裸の女を持つ男

裸の女を持つ男

クロムモリブデン

シアタートラム(東京都)

2011/04/16 (土) ~ 2011/04/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

パワフル!
クロムモリブデン初鑑賞。非常に勢いのある、パワーに満ちた公演だった。個性的な人物像とサスペンス風味の演出で惹きつけられてしまった。

ラストには賛否あるかもしれないが、仕事帰りに見て元気になったのは確か。次回公演もぜひみたい。

転換時の演出はとても好み。

死に際を見極めろ!

死に際を見極めろ!

ライオン・パーマ

王子小劇場(東京都)

2011/05/12 (木) ~ 2011/05/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかく笑える!
最初から最後まで笑いの絶えない110分。実に面白かった。

最初のつかみをしっかりと取ったためか、客席の空気も良く、他のお客も良く笑っていた。チラシでは、イマイチ公演の空気というかジャンルが判らなかったけど、ここまで笑えるとは。
小ネタがふんだんに散りばめられ、しかもツボを押さえていて、「笑わせてもらった」満足感で会場を後にした。

次回もあれば是非見てみたい。

ネタバレBOX

舞台セットや衣装は、正直レベルは高くない。けれど、笑いの雰囲気にマッチしていて、計算されているのかななんて思った。
みゆき(死に際専門の監督)のスーツはなんだか野暮ったいし(普通ならもっとスタイリッシュなものでくるハズ。髪はキマッてるから)、銀河警察のも安っぽさ全開…。舞台もちゃちく、宇宙を表現する地球や土星とか、宇宙船のハリボテ?とか、もう少し頑張れと思わないでもない…。なんだけど、それが肩肘張らずに観劇できる要素になっていたのかもしれない。(=笑いの生まれる土壌になってたのか?)

話自体は、みゆきの録る「スリムの死に際映画」の中でいくつもの死に際がありながら死なず終焉を迎えるが、結局それも「実際の監督の映画」の話だったというオチ。

あまち静香扮する「占いの女」の占い~みゆきへの依頼~急に刑事もの~スリムの田舎~防弾スーツ~宇宙へ~優しい星~ボケとツッコミ~田舎 → 実は実際の映画撮影
目まぐるしく変わる舞台設定だけども、ストレスは無い。むしろ次はどんな設定でくるのかなと興味が湧いたくらい。変に劇的にすることもなく掘り下げるでもなく、テンポよく話を進めることで、「笑い」優先の舞台ができたと思う。
この点、劇団の狙いなのかは不明だけども、単純に楽しみたいと思って、お金と時間を使っている一般の客である私は、高く評価したい。
マシーン日記

マシーン日記

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/03/14 (木) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

オズの魔法
面白い。

ネタバレBOX

イカれたアキトシ(オクイシュージ)の工場にケイコ(峯村リエ)がやってくる…。

サチコ(鈴木杏)…ミチオ(少路勇介)に強姦されなぜかその兄・アキトシと結婚することになった、頭の弱めな女性。いじめられっ子だった学生時代に、担任であったケイコのおかげでいじめを回避する。夫のイカレ具合に嫌気がさしミチオに連れ出してとせがみ、夫を鈍器でボコるが、結局ケイコに絞め殺される。中卒。
ミチオ…アキトシの弟。強姦の件で鎖で足をつながれたままとなる。破天荒に見えて一番常識人に近いかな。家電の修理にかこつけて盗聴器を組み込み、盗聴を楽しむ。浮いてた過去を知る奴らを排除したいと思っている。
アキトシ…サチコの夫でミチオの兄。工場を経営するキチガイ。指が六本あり、時期によってキテレツさが上下する。サチコにボコられ死んだと思われたが、復活。工場を焼き払おうとするところをケイコに阻止され、ワニに金玉を喰われる。高卒。
ケイコ…元サチコの担任。数学的な思考をもつため、いかにも日本人思考なサチコをストレスに思う。サチコと同様のいじめられっ子男子と結婚するが、ミチオと同棲し、子を宿す。ミチオのマシーンになるといって、ミチオの過去を知るモノを消すため街に火を放つ。

とかくパワフルな舞台。奇人の奇行だけってワケでなく、人間臭さが滲んでた。笑えるシーンもセリフが潤滑油になってて、マイケルジャクソンなダンスシーンとかエンタメ色もキッチリぶっこんでて120分楽しめる。
仕事帰りにみて元気が出る舞台だった。
BREATH

BREATH

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2015/12/10 (木) ~ 2015/12/25 (金)公演終了

満足度★★★★★


面白い。120分。

ネタバレBOX

赤星(多田直人)…医師。希乃の病気をきっかけに、恭子と結婚するため小説を書き、芥山賞を受賞する。
恭子(岡内美喜子)…劇場勤務。赤星の押しに迷惑を蒙り嫌気さすも、クリスマスデートして、一応受け入れた。
亀岡(阿部丈二)…劇場プロデューサー。妻子持ち。元々波方のマネージャー。波方の演技にほれ込んでいる。
波方(坂口理恵)…女優。一時売れっ子だった。現在も演技に対する熱意は変わらない。子が芝居にこれなくなりやけ酒に走る。
不二雄(畑中智行)…父が大企業の代表取締役だが、スリに走る。明日美の前で現行犯逮捕され目を覚ます。
明日美(林貴子)…劇場勤務。明るい性格で不二雄との結婚を意識する。不二雄の更生を受け入れた。
柿本(西川浩幸)…高視聴率看板番組をもつアナウンサー。久里子の結婚を潰そうとするも、希乃の件で長坂に結婚をお願いした。
新居浜(大森美紀子)…希乃の母。柿本の死んだ妻にそっくり。希乃を天国へ送り出した。
長坂(三浦剛)…売れない役者。土居演出の舞台にたつ。二日酔いの波方をフォローする。役者をやりたいため、久里子との結婚を諦める。
久里子(石森美咲)…長坂の彼女。付き合って一ヶ月で求婚した。長坂が結婚を諦めたことでやけ酒に走る。
土居(鍛冶本大樹)…若手演出家。希乃の元彼。希乃から一方的にフラれたと思ってた。
希乃(大滝真実)…末期ガンで死んだが、土居と由比ヶ浜にいきたいと願い、天使の力を借りて現世にとどまる。思いを果たし昇天した。
時枝(伊藤ひろみ)…塾講師。活力溢れる根っからの教師。波方は、時枝を言い負かした唯一の教え子。
松山(山崎雄也)…劇場勤務。時枝の孫。時枝に大事に育てられ大きく育った。
風呂木(菅野良一)…天使。

12月の男女の話。誰が中心というワケでなく、それぞれがつながって暖かめに終結していく。
希乃と天使というとこでファンタジーな色合いがあるし、それぞれにドラマ性があって純粋に楽しめた。やや予定調和な感もあるけど、テンポも良くて程よくコメディで見てる際は気にならない。
ラスト、赤星と恭子のシーンをあっさりめで描いた点も○。

キャラも好感を持てる。悪役がないのが、作風にあってて良かった。男女という意味でなく一途な亀岡や作品中で一番悲惨じゃないかと思う明日美とか生涯教師を貫くだろう時枝が好み。あと波方はかわいい。松山の長身を生かしたパフォーマンスで魅せるのも上手かった。
『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

劇団チョコレートケーキ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/05/25 (水) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

【十二人の~】法廷劇の金字塔
…という予備知識なしに鑑賞。

こんな面白い話があるとは!と驚き、凄まじい破壊力に圧倒された。もちろん、しっかりした演技があってこその舞台なのだろう。
人種差別問題なども含まれた社会性とサスペンス的要素、人間の独善的な弱さが内包した素晴らしい脚本に負けない、力の籠った演技で十分に満たされた。

名作ほど劇団としては手を出しにくいと思うし、自作の法廷劇(裁きの日)との2本立てという企画である点、勇気ある公演だと思う。


ネタバレBOX

若干の違和感を覚えたのは、大塚秀記が被告少年のような境遇の人間を差別的に罵倒するシーンの岡本篤の「首をへし折るぞ」というところ。あくまで建設的理知的に話していた彼が、業を煮やしたにせよ、この発言をするのはおかしく聞こえた。
15 Minutes Made Volume10

15 Minutes Made Volume10

Mrs.fictions

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/12/16 (木) ~ 2010/12/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

すばらしい出来
各劇団初見。Mrs.fictionsの「東京へつれてって」は素晴らしい出来ばえ。抜群の舞台だった。これ1本でも入場料払う価値があったかなと。脚本・演出・演技、最高の15minでした。

「少年社中」ジェンガでどう話をひっぱるのか(舞台をみせるのか)興味が湧いたが、早々に別の展開に流れてしまい、肩透かしの印象を持ってしまった。
「ぬいぐるみ」演劇というよりコントだなと。エンターテイメントしてた。
「トリコ」15分でみせるのは難しい話だけど、人間模様を描く話は好き。
「シルク」ポップな色彩。ダンス良いね。
「田上パル」いい意味で肩の力が抜けました。

「したごころ、」【満員御礼!千秋楽を無事迎えることが出来ました!】

「したごころ、」【満員御礼!千秋楽を無事迎えることが出来ました!】

エビス駅前バープロデュース

エビス駅前バー(東京都)

2011/02/25 (金) ~ 2011/03/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

バーで観劇
4つのオムニバスストーリー、どれも面白かった。中でも看護師とチンピラの話が好き。

バーは様々な問題を抱えた人が集まる(というイメージ)ため、人間模様を描くには絶好のステージ。お酒片手にリラックスして観られた。演技は、ホチキス・山崎雅志、宇宙食堂・伊丹孝利の二人がよかった。

〆のバーテンとお手伝いのエピソードのおかげで、さっぱりとした後味で帰れた点、うれしく思う。次回公演も観にいきたい。

ネタバレBOX

地震の日に行く予定だったが、中止→追加公演で観た。

どーでもいいハナシだけども公演の収益性はどうだったろうかと気になった。
半月という小劇場的に長丁場の公演。客席数は20程度。公演数は27回?こういうスタイルで年何回も回せれば、小劇場界の経済性も変わってくるのかしらと想像した。いや、客単価が低すぎるか。
線のほとりに舞う花を

線のほとりに舞う花を

てがみ座

王子小劇場(東京都)

2011/04/12 (火) ~ 2011/04/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

話も演出も舞台もハイクオリティ
人種差別、弾圧、戦争…重い題材を美しくうたいあげた良質な舞台。話もお涙頂戴に流れておらず素直に感動できる。

舞台セットや衣装も話に合っていて「総合芸術」として高く評価できる。演技力も十分で、次も観たいと思わせる、満足の公演だった。

ネタバレBOX

「お疲れ様です」のセリフに笑ってしまった。
テノヒラサイズの人生大車輪

テノヒラサイズの人生大車輪

テノヒラサイズ

池袋小劇場(東京都)

2010/09/22 (水) ~ 2010/09/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

傑作!
チラシに惹かれて鑑賞。こういうチラシデザイン(出演者でもなくて良いが、人物が表情とか動きで表現しているもの)だと、観てみたいという気持ちになる。

一言でいうと、とても面白かった。笑いあり、感動あり。シンプルな作り(話も舞台も)だからこそ、また見たいと思わせる傑作だった。

ネタバレBOX

パイプイスのみの舞台セット。出演者は全員つなぎ。パイプイスを色々なものに見立てて(組み立てて)表現の幅を広げる。

後ろ手にしばられた集団。そこでの、各人の過去回想シーンがメイン。そのつど各出演者が様々な役を担う。脚本がしっかりと作られているのがはっきりと判るレベルで、スッと頭に話が入ってくる。演技も白熱だった。
『パ・ド・ドゥ』【ご来場ありがとうございました!】

『パ・ド・ドゥ』【ご来場ありがとうございました!】

七里ガ浜オールスターズ

王子小劇場(東京都)

2011/05/24 (火) ~ 2011/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

接見室で明かされる謎
裁判でなく接見で明かされる過去と現在の想い。

1999年の初演らしいが、普遍的な魅力に溢れた脚本。二人の演技に引き込まれて見入っていた。とても面白い。

舞台は、演者がアクリル板(?)を挟んで座り(まさに接見室)、客は演者を横から眺めるスタイル。全部で40弱程の座席。話が盛り上がる終盤、横から観る白熱する表情が非常に美しかった。

初日らしく噛むこともチラホラあったが、どうでも良い。最後の挨拶時にセットの暗幕が舞台にかかってしまっていたが、どうでもよい。そんな充実した舞台だった。

ネタバレBOX

恋人がマンションの4階から転落し、殺害未遂で逮捕された日向(伊東)は、元夫であり弁護士の名塚(瀧川)へ弁護を依頼する。嫌々引き受け、やる気無く、また訝しみながら応対する瀧川。どこか現実味のない供述をし、起訴されたように見えない日向。

名塚の浮気で離婚した二人は別々の人生を歩み、接見室で再び交わる。そこで交わされる嘘と本音、打算と感情を経て、過去の想いを伝える二人。裁判の行方ははっきりしないし、世間的にマイナス評価を受けるであろう二人は、過去の清算を済ませ新たな人生を踏み出すと感じた。

序盤から中盤のどこかふわふわした雰囲気や会話にクスっとする。
日向が過去の想いと事件の真相をぶちまけるシーンが見せ場。怖いくらいの感情が溢れる。
恋する、プライオリティシート

恋する、プライオリティシート

コメディユニット磯川家

王子小劇場(東京都)

2011/02/05 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

疾走するコメディ
関東とか関西という分けに意味はあんまり無いかなと思うけど、「コメディユニット」と冠している団体さんなので、期待して足を運んだ。

舞台は、バーがしっかりとつくられていて完成度は高い。上手にはピアノ。下手はエレベーターとトイレ。

話の軸は、美人の障害者(物延結)とバーテン(渡辺毅)の恋。そこに、周りのバーの客や親族、元彼やマスコミなどが入り乱れてのドタバタコメディ。ドタバタコメディで嫌なのは、舞台上だけ盛り上がって客席は冷めているような公演。本作品は、こんな心配を吹き飛ばす一体感が会場を包んでいた。

特に、終盤のノリの良さは、ピアノの伴奏も相まって、一気に大団円のハッピーエンドにお客を運んでいく。
実に軽快なラストで、爽やかな充実感が残った。


ネタバレBOX

理香(物延)は表向き性格に難ありの障害者。バーで男を試しては無為な毎日を過ごす。バーテンの迫田(渡辺)は、そんな理香に告白するが…。

ドイツに行って手術すれば回復する可能性のある理香の障害だが、理香は自分のお金でなければ渡航しないと意地をはる。周囲の人間らの思惑も加わり、鈴(白石廿日)は、婚約者の敏太(島岡)の貯金(結婚資金)1,000万で、皆の悩みを次々解決し、理香の渡航費も持ち、皆は幸せになる。ここのピアノのノリと鈴のノリ、その他の演者のノリの一体感に思わずニヤリとしてしまった。


障害者を扱うと、ストーリーや人物像が重くなりがちだが、笑い重視の「コメディユニット」だけあって、テンションはひたすら高く、ポジティブな舞台を保ち続けた。まったく曇りがない。
もちろん笑いの部分も多くあった。一番笑えたのは、ピアニストの全力疾走だったが…意外でびっくりしたくらい。

一応マイナスを上げれば、登場人物がやや多めなので、多少削っても良い箇所があったりすると思う。その分、主役二人のストーリー、もしくは姉の珠(信原)とのやり取りを掘り下げるとか…再演があればさらに練って良い舞台に仕上げてほしい。

なんにせよ、★5文句なしの公演でした。

売春捜査官

売春捜査官

北区つかこうへい劇団

滝野川会館 大ホール(もみじ)(東京都)

2011/06/22 (水) ~ 2011/06/25 (土)公演終了

満足度★★★★★

警視総監殿!!
あの木村伝兵衛部長刑事が女性になった「売春捜査官」。率直に言って傑作だった。

最終的にすべての問題を凌駕する「女性の愛」を提示された気分。女性蔑視や同性愛者への差別、民族差別などの問題も含まれた内容だったが、それらを一気に乗り越えるものを女性は持っているんだと力説された感がある。

あまりにもかっこよすぎる「警視総監殿!今、義理と人情は女がやっております!」の決め台詞・決めシーンに集約されているのではないかなと。
そんな部長刑事を演じた那須野恵にただただ拍手。もちろん、脇を固めた役者陣の演技は申し分ない。

ネタバレBOX

印象的なOP(白鳥の湖に大声の電話)を皮切りに、しゃべる叫ぶでグイグイ引き込まれる。
後半、熊田留吉に「勘弁してください」と言われ続け、打ちひしがれる部長刑事のシーンが好き。

新団体でもやってくれれば是非観たい。
黒とシロ ありがとうございました!無事千秋楽までたどり着くことが出来ました。

黒とシロ ありがとうございました!無事千秋楽までたどり着くことが出来ました。

獏天

Geki地下Liberty(東京都)

2011/02/19 (土) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

見ごたえ十分
那須野恵見たさに鑑賞。なので、特に内容を意識せずに観劇したのだが、かなりパンチの利いた良質な舞台で満足した。
地下鉄サリンを材題にそれに巻き込まれた人間の醜さと弱さ、美しさをいいバランスで描いていた。

那須野のウェディング姿のノースリーブから出た腕が美しく引き締まっていた。いや魅力的でもあったけど。

ネタバレBOX

事件当時、私は中高生くらいだったと思う。正直に言うと、さほどの関心事ではなかった。TVで映像など見ていたが、心には届いていなかった。だから、どういう経過だったのかとか、犠牲者の数とか、まったく知らなかった。地方在住だったというのは言い訳でしかないが。

この公演を観た日、PCで事件のことを色々と調べてしまった。TVの映像より生の演劇の方が影響力があるのは当たり前とは思わない。この舞台の出来が良かったからこそ、影響を受けたのだと思う。

だから★5
墓場、女子高生

墓場、女子高生

ベッド&メイキングス

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/07/17 (金) ~ 2015/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

記憶
面白い。120分。

ネタバレBOX

日野(清水葉月)…元コーラス部。桜の木で吊って自殺した幽霊。みんなからいろんなあだ名で呼ばれてた。
西川(根本宗子)…現オカルト部。日野の死を吹っ切れず、オカルトの力で復活を考える。この世は腐っていると日野と話合う。
ジモ(青山美郷)…本名フジモト。死んだ飼い犬の名をビンゼに名づける。
ビンゼ(望月綾乃)…強引にコーラス部に入れられた。
チョロ(山田由梨)…彼氏あり。
武田(杉ありさ)…オカルト部部長。若干空気読めない。
ナカジ(葉丸あすか)…見た目がブスだと気にしてる。そこそこかわいい。
メンコ(佐藤みゆき)…大人になることに過剰な意識を持つ。
男たらし

男たらし

ブス会*

ザ・スズナリ(東京都)

2014/01/29 (水) ~ 2014/02/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

オレンジジュース
面白い。110分。チラシの毛伸び写真がかわいい。

ネタバレBOX

カネシロ(古屋隆太)の会社にひっぱられた淑美(内田慈)はカネシロと付き合うが、カネシロの女癖の悪さに次第に冷めていく。と同時に仕事に打ち込むようになり、カネシロとの仲はさらに悪くなる。
カネシロの息子・ユヅル(大窪人衛)が地方の大学に受かり引っ越す前夜。ユヅルに抱きしめられた淑美は、服を脱ぎながらユズルの部屋を訪れる…。

淑美…地位と金のある男に依存する女。仕事に目覚める。
カネシロ…DVっけのある×2男。高校中退の学歴コンプ。淑美の代わりはいるといい放つ。
ヨシダ(佐野陽一)…平均的にダメっぽい男。小さい。出会い系で知り合った女と結婚する。
タクヤ(松澤匠)…元ホスト。二度寝た女に飽きちゃう性格。女の扱いに長けてる。
サワキ(金子清文)…デザイナー。淑美と不倫関係にあったが、そのときは妻を選んだ。赤ちゃんプレー好き。
ユヅル…カネシロの子。IQ高い。マザコン。母を守れなかったことを気に病む。

淑美を中心に上手いキャラで固めた笑えてちょっとだけ苦めな作品。主演の内田の男たらしな演技が上手い。序盤のカネシロとのやりとりだけで引き込まれた。濃い目な男連中を相手に奮闘した内田がマッチしてた。
男連中も面白いキャラばかりだけど、佐野が演じたヨシダのしょっぱさ加減が絶妙。淑美を傷つける「男が気があると思っている~」もいい味だけど、「仕事のできる女って嫌いなんだよね~」は最高に笑った。笑えるけど、どことなく等身大な感覚になるのが上手い。

カネシロに暴力をふるわれユヅルに助けられた淑美の心が、ユヅルにまた一歩近づき、ユヅルもまた淑美に母を半分ほど重ねる終盤。妙な抱きしめ方をしたユヅルに母性をくすぐられつつ男を感じた淑美が、階段をセクシーに登る構図(照明も)がいい。エロスな内容でもあるけど、どことなくウォーミングな気持ちになる。

人間なにかで満たし(満たされ)ながら生きていて、傷つきながら生きていてって舞台。満たしているのか埋めているだけなのかが大きな違いなのかもしれない。
鉄の纏足

鉄の纏足

東京タンバリン

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/09/20 (木) ~ 2012/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

うるせェー
面白い。パンフの作・演挨拶文も面白い。

ネタバレBOX

30超えてレンタルビデオ屋バイトの時田光(森啓一郎)と他のバイトや店長の話と、図書館員が読書することが「貸出」となる不思議な図書館の話。

職場の人間関係のイライラを、リアリティとユーモアをもって上手に描く。バイトに責任を押し付ける店長・佐渡(猪俣三四郎)や媚びがちな河辺絵理(柴田薫)のお気にの靴を隠す小田知世(大田景子)や磯村彩(田島冴香)、社長息子・金子(近藤フク)と調子のいい中村(遠藤弘章)の同性愛、店長含めヤル気のない面々が醸す負の雰囲気がいい。
こんな状態の中、磯村の友人・涼子(島野温枝)の水着セクハラ騒動や時田の妹・栄(中島佳子)からのプレッシャーなど重なって、時田の心が爆発する。うるせぇと。

不思議な図書館では、名前などは意味のないもの、個々のやりとりも意味のないものとなっている。そんな状況がいいと順応する時田(中島佳子)と、馴染めずその世界から離脱する江川(萩原美智子)。図書館の世界は、レンタルバイト時田の頭の中の妄想か、願いか、無意識かはっきりしないけど、ざわつく現実からの逃避って世界になっている。

店長を刺殺したレンタルバイト時田と図書館員時田が会話を交わす終盤。「人生の疲弊」をぼやく、レンタルバイト時田の乾いた諦観がズシっとくる。

「鉄の纏足」ってタイトルのとおり、締め上げられた心の描き方が上手い。タイトルとそのリード文から考えるに、男も女も同じだけど男のほうが他者にそのストレスが向きやすいということなのかな。
MU、短編演劇のあゆみとビジュアル展(当日精算予約開始しました!)

MU、短編演劇のあゆみとビジュアル展(当日精算予約開始しました!)

MU

東京芸術劇場アトリエイースト(東京都)

2016/04/21 (木) ~ 2016/05/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

「戦争に行ってきた」「その好きは通らない」
面白い。90分(休10分)。

ネタバレBOX

「戦争に言って来た」(55分)
五味(福原冠)…反戦団体メンバー。(戦場)カメラマン。シリアで捕らえられた際に手首を切り落とされそうになる。グロ画像を平和団体に売買して身銭を稼ぐ。
浜口(古市みみ)…反戦団体リーダー。ラブ&ピース&マネーの内、ラブに比重を置いていて、五味らに愛想尽かされる。
青野(青木友哉)…反戦団体メンバー。ピースに重きを置くが銃が好き。真面目で存在感がない。
真弓(井神沙恵)…夫婦デュオのヴォーカル。幹雄の前は田中と結婚してた。
幹雄(村上航)…夫婦デュオのギター、コーラス。真弓ともども「勝ち組」を自覚し、ふわふわ浮ついた感覚で生きていて、五味らにナメた態度をとる。
田中(三原一太)…真弓らのマネージャー。青野、真弓、幹雄は軽音楽部の教え子。浜口といい感じになるも、印宮にボコされる。
印宮(加藤隆浩)…上階に住むヤクザ。田中をボコる。
真梨恵(大森茉里利子)…印宮の女。青野曰くビッチ。

イケてる夫婦デュオにカラまれ、変な敗北感を味わう五味と青野。反戦とか金とか、自分の存在意義とかに想いをめぐらせていると、印宮と浜口らが外でモメはじめ、青野はモデルガンをぶっ放し状況は深刻化する。青ざめる真弓と幹雄に、これも現実だと五味はいい放つ…。

欲望と思想の反戦団体のいかがわしさや、一般人とかけ離れた成功者のダークなとこをチラチラみせつつ、ユーモアと皮肉でもって味付けした佳作。シーン毎のバランスも良く、気持ちよく(内容的には気分悪い)見ていられた。自分の左手首にアイデンティティ?を持つ(一方でカネに執着する)五味の、苦悩がグッときた。福原の持つ独特な雰囲気がいい感じに引き立ってた。

「その好きは通らない」(20分)
加藤…年配社員。家庭あるが古市と不倫疑惑あり。
三原…ナルシスト。
福原…サッカーをナンパの道具とする。
青木…真面目。トンがっている自分が好き。古市のことが好き。
村上…ヤンキー。カラーギャングやってた。
古市…禁煙中。
沙恵…かわいいから、なにしても許されちゃう。
大森…派遣社員。タバコ占いができる。小4から喫煙している。加藤のことが好き。

「戦争~」とは一転して、こじんまりとした作品。けど、とても笑えた。青木がいいキャラしてた。なんとなくほほえましさもあり、〆の作品としても良作と思う。
「エダニク」「サブウェイ」

「エダニク」「サブウェイ」

真夏の極東フェスティバル

王子小劇場(東京都)

2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

「エダニク」
笑いと真剣演技が絶妙にブレンドされた3人芝居。見事でした。

パンフの「再演にあたって」が面白い文章だった。クスッとした。んで、制作費80万(相場知らないけども)、役者3人+音響照明舞台2人の5人という、シンプルスマートな舞台らしい。
「いつでもどこでも高品質」という言葉に大きく期待して観劇したが、とても満足できた。

ネタバレBOX

とある屠殺工場の休憩室。妻子を持つ沢村(原)と、ベテランの玄田(緒方)が飯を食べているところへチャラそうな若者(夏)がふらっと入ってくる‥。

若者(伊舞)の、チャラ演技が上手くニヤニヤしてしまうが、沢村の上からトーク→お得意先の御曹司発覚にふきだしてしまった。まあ、そうなるよねと思いつつ。そんな笑いの雰囲気を持ちつつ、今度は伊舞と玄田のカラミが始まるも、今度はシリアスな香りが漂いだす。
御曹司でチャラい伊舞+働き口を気にする沢村+無くなった(とされる)延髄の処理に困り、友人(林?)を気にかける玄田の3人がそろってからは、舞台がよりヒートアップし、食い入るように観ていた。そんな中でも、夏のしゃべりとかがコミカルでなぜか笑えてくる。
シリアスな進行の中に笑いを入れるのは好きでないのだが(なんか舞台の熱が冷めてしまうように感じるため)、この舞台はそれを感じさせない巧みさのようなものがあった。演技が上手かったからなのか。

ちなみに、玄田の「命をこっちに押し付けるな!」という言葉が印象的だった。
アフタートークに登場したデス電所の方の、「ラスト、夏は玄田を殺しにいったんでしょ」という読みが面白かった。

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