昆虫系[改訂版]
鵺的(ぬえてき)
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2011/07/27 (水) ~ 2011/08/01 (月)公演終了
脚本/演出家、コラボの醍醐味。
最近の小劇場界では、自身の劇団公演なのに外部演出を招くケースが多い。僕も劇作家だが、自分の場合は死ぬ思いして書いた「ご褒美」として演出してる感覚なので、みんな、なんと太っ腹なんだろうと(笑) ずっと興味深かった。
そのひとつの答えとして、主宰・高木登さんが本作『昆虫系』とマッチした演出家を選んだ、という実直な答えがあり、その潔く俯瞰された寛大な作戦は大成功している。以前、演出・寺十吾さんの作品を拝見したときに「構成や立脚がもう少し欲しいな」と僕が感じたことと、鵺的の「猥雑な台詞やシーンがあるのに潔癖」というスタイルが、お互い無かったものが合致したのか、絶妙な化学変化が産まれている。高木さんの端正な戯曲構造は、圧倒的な猥雑さでミクロな隙間まで容赦なく染められる。
映画業界のように「脚本家」と「演出家」の分業が行なわれにくい演劇・小劇場界のなかで目が覚まされる作品であった。
また、映画と言えば本作のサタケ社長のような狂った親父が跳梁跋扈する『冷たい熱帯魚』を思い出す。しかし本作はそれよりも何年も前の作品で偶然の合致に過ぎない。だけれど、こういった事件の裏側はいくらめくっても金とセックスしか出て来ないという本質までがシンクロしており、ただただ虚しい。「肉食系女子」とか「草食系男子」とか腰砕けな言葉が流行る遥か昔に「昆虫系おじさん」を選び、タイトルに冠していたのが面白い。
考える事を奪われ、借用書に群がる男たちの背中は、まさしく虫ではないか。「借金だけだな、一人前なのは!」とサタケ社長が豪快に放った台詞が、全国民総借金状態の日本で、耳に染み付いて泣きそう。
爛れ、至る。
elePHANTMoon
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/05/21 (木) ~ 2015/05/31 (日)公演終了
elePHANTMoon『爛れ、至る。』観劇
SMクラブに通い死に至った男の陰を追うようにM街道に落ちて行く主人公。映画『ニンフォマニアック』みたくSの方がいろんな道具用意したり気遣いに溢れてる(笑)物語性はほぼ排除、ワンカット長回し=体感時間。鞭打たれてるとき俺は何考えてた?
M男たちのオフ(素)状態の雑談に悲哀やユーモア、変態の「平熱の品」が感じられていい。劇団史的にSMという方向性で振り切った特殊な作品で、映像もやってるマキタカズオミくんがプレイに「カットをかけない」って構造自体がSMに近い神の視点。神様に向けてやる行為こそが背徳であり至高である訳で。
もちろん題材が題材なのでひとは選ぶしR1@でいうとどれくらいかはわかりませんが。笑。興味が湧いた方は是非。
ま ○ る
miel(ミエル)
ザ☆キッチンNAKANO(東京都)
2012/05/09 (水) ~ 2012/05/14 (月)公演終了
ま○る
脚本提供した身としてはロシアンルーレットのように自分の戯曲がいつ来るかドキドキして観たり(笑)
駅員役の佐野功くんが一生ぶん「ゲロ」っていったり、話にオチのない石井舞ちゃんが「NSCにいけ」と男にボロクソに振られたり、そんな僕のシナリオが、金崎ひろえさんの演出でコンテンポラリーになってて感慨深かかったです。終電間際に改札でいちゃつくカップルって設定がマネキンなモチーフに変わるなんて。
個人的に地雷として仕込んだ「ナオト・インティライミ」をディスるとこも笑えたしでひと安心(笑) さらに個人的な話をすると、ジャミロクワイをあえて抑えたボリュームで踊るダンスが好みでした。
金崎ひろえさんは、バーズアイビューで活躍されてた方で、あの劇団が好きだった方は是非観てみてください。その延長線上の舞台が存在することに嬉しくなります。
しじま•う(ご来場ありがとうございました!)
鶏頭
エビス駅前バー(東京都)
2012/08/14 (火) ~ 2012/08/21 (火)公演終了
初日に
半分だけ観れましたので、後半の日程にもういっかい、あたまから観ようと思います。キャストがいいですね、男性陣はシャイなんだけど濃くて、女性陣みんな可愛らしいです。
あの時お母さんが「コウちゃんの事、好きでいていい?」と呟いて、僕をギュウ―って抱きしめたんだ。
TomTomTom
高円寺HACO(東京都)
2013/11/27 (水) ~ 2013/12/01 (日)公演終了
映画監督・寺内康太郎氏が脚本と演出×多才な俳優(松下・辻沢・岡山)3人組の大傑作
MUでもお世話になっていて、公私混同仲良く多才な俳優3人組、辻沢綾香(双数姉妹)/岡山誠(ブルドッキングヘッドロック)/松下幸史(動物電気/乱雑天国)がユニットを結成、ニセ警官顛末記の映画で俺を爆笑させてくれた監督・寺内康太郎氏が脚本と演出の大傑作 。
学園バンドものなのにオリジナルメンバーがところてんのように消え、全員新メンバーでバンドを引き継ぐナンセンスを軸に、各人物のどうでもいいバックボーンへ脱線につぐ脱線&脱線。物語を消し炭にするユルさとパンク、演劇の「日常系」。
全員が4.5役やってて怪演なんですが、特に辻沢綾香ちゃんは、ジャニスに憧れ呪われたように気だるいJK、サッカー部の監督を任される天才肌のメガネJK、弁当屋でキラキラ働くJKと幅広く、この俳優3人を一度でも見たことある方は尚必見。
寺内監督は映画監督なのにナンセンスな骨格が90年代の演劇ぽいね。
破滅志向
小西耕一 ひとり芝居
RAFT(東京都)
2013/09/18 (水) ~ 2013/09/22 (日)公演終了
小西耕一はやる漢です
小西耕一×菊地未来『破滅志向』は、小西なりのリベラルが全開故に切実なダークさに満ちた『アニーホール』(ウディアレン監督)みたい。
君が代不起立をしれっと注意するような一教師だが、恋愛の前でリベラルは無力だと痛感する80分。
会話劇でヒリヒリしたい方、本当おすすめです。前回公演『既成事実』の際も、劇評サイト・ワンダーランドに劇評を書きましたが、ここ数年で心から感動したのは小西耕一ひとり芝居です。作家でござい臭が一切しない俳優自らなんで人生売ってんだ臭がたまりません。
土日昼はまだ空いてるみたいなので、是非おすすめ!
蜜月の獣
小西耕一 ひとり芝居
RAFT(東京都)
2014/02/26 (水) ~ 2014/03/03 (月)公演終了
毎回、破滅。でも今回は‥
彼の芝居は、毎回ケツの穴は小さいけど死ぬほど切実なエゴからミステイクをしてしまう作風。それが身に沁みつつ笑えてたが、今回は三人芝居故かエゴは分散され、誰もミスを犯してないのに…というやりきれなさへ到達。カップルの呑気な卓袱台会話から、映画『ブルーバレンタイン』の如き擦り切れる展開へ変化する瞬間が、肝。
熊猫(パンダ)
くろいぬパレード
劇場MOMO(東京都)
2008/05/29 (木) ~ 2008/06/08 (日)公演終了
In The PLAYROOM
DART’S
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2014/10/31 (金) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
新宿での再演かなりハマってます!
TRPGで小説家とファンが物語を紡ぐサスペンスホラー。定石を踏まえ裏切る血生臭さは再演の新宿が似合う。佐賀モトキの黒髪OLに萌えつつ、今里真の小説家は妙に落ち着いた佇まいでカリスマ性の説得力が◎。全員キャラ立ち完璧!
自分が稽古してるMU『狂犬百景』もホラーやサスペンスの要素があるからなんだけど、シンパシー感じまくり。やっぱり最後は大音量のハードロックでわかってるな、と。笑
反重力エンピツ(再演)
国道五十八号戦線
サンモールスタジオ(東京都)
2010/07/23 (金) ~ 2010/08/01 (日)公演終了
青年団『革命日記』が好きな方はこちらも
見てみてはいかがでしょうか。
演劇大先輩には恐れ多いですが、モチーフが似ているので気に入って頂けるかと。
僕は自分を「劇団ひとり」だと割り切ってやってるのですが、若い彼らはバンドみたいな結束力で劇団のピンチを乗り越え、演目変更の作品をあたかも現在の俳優で当て書きされたようにまで善戦してるのは、ちょっと感動です。小先輩として応援してるよ。
ポストパフォーマンストークで、ぼくが出演した回もポッドキャストでアップしました。ネタバレ部分はピー音入ってますんで御安心を。
http://bit.ly/c8Xz5A
Dramatic Dancing
こちらスーパーうさぎ帝国
d-倉庫(東京都)
2009/12/17 (木) ~ 2009/12/21 (月)公演終了
Oh! クラウディア
LEMON LIVE
駅前劇場(東京都)
2008/02/19 (火) ~ 2008/02/26 (火)公演終了
暗黒地帯
鵺的(ぬえてき)
「劇」小劇場(東京都)
2009/08/05 (水) ~ 2009/08/09 (日)公演終了